国民年金の保険料が払えないとき|未納にせず、法定免除・申請免除・納付猶予・失業の特例を

日本の赤い郵便ポスト。生活保護費の追加給付は郵送での申出が必要 制度・お金
出典:Pixabay(商用利用可・クレジット表記不要)

国民年金の納付書が、封を切らないまま引き出しにたまっている。相談の席でそう打ち明けられることがあります。令和8年度の保険料は月17,920円です。収入が途切れた月に、この額を毎月出し続けるのは簡単ではありません。

払えないこと自体を責めるつもりはありません。困るのは、払えないまま何もしないことです。国民年金には、手続きをすれば保険料が免除される、あるいは待ってもらえる仕組みがいくつもあります。その手続きをしたかどうかで、将来の年金も、万一のときの障害年金も変わってきます。

未納と免除は、同じ「払っていない」でも扱いが違います

日本年金機構の説明をもとに並べると、こうなります。

区分 年金を受け取るのに必要な期間(10年)に 老齢基礎年金の額への反映
全額免除 数える 2分の1
4分の3免除 数える 8分の5
半額免除 数える 8分の6
4分の1免除 数える 8分の7
納付猶予・学生納付特例 数える 反映されない(追納すれば反映)
未納 数えない 反映されない

全額免除の期間は、平成21年4月以降の分なら年金額の2分の1が計算に入ります(平成21年3月以前の分は3分の1)。一円も払っていない月でも、手続きをしていればゼロにはならないということです。

もう一つ、見落とされがちなのが障害基礎年金です。受け取るには、保険料の納付要件を満たしている必要があります。

障害基礎年金の保険料納付要件(日本年金機構)

初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

ただし、初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。

病気やけがは、予定して起きるものではありません。未納の月が続いているところで初診日を迎えると、あとで障害が残っても、この要件を満たせないことがあります。日本年金機構も、未納のままでは障害年金や遺族年金を受け取れない場合があると注意を促しています。免除や猶予の承認を受けた月は、未納にはなりません。手続きをしておく一番の理由はここにあります。

生活保護を受けているなら「法定免除」。届出は要ります

生活保護の生活扶助を受けている人は、法定免除の対象です。障害基礎年金や被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている人、国立ハンセン病療養所などで療養している人も同じです。生活扶助の場合、受給が始まった日を含む月の前月から免除されます。

名前に「法定」とありますが、届出は必要です。日本年金機構は、該当する人は「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を市区役所または町村役場に出すよう案内しています。生活保護が始まったら、この届出が済んでいるか、ケースワーカーか区役所の国民年金の窓口に確かめてください。

就職などで保護が終わり、条件から外れたときも届出が要ります(就職が決まったときの手続きの記事)。法定免除の期間でも、申し出れば保険料を納めることはできますし、あとから追納して年金額を増やす道もあります。

所得が少ないときの「申請免除」

生活保護を受けていなくても、前年の所得が一定以下なら、申請して免除を受けられます。全額、4分の3、半額、4分の1の四段階です。審査されるのは本人の所得だけでなく、配偶者と世帯主の所得もです。

区分 前年所得の基準(日本年金機構の計算式)
全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

扶養している人がいない単身の方なら、全額免除の線は35万円+32万円で67万円です。ここでいうのは「所得」で、給料の額面そのものではありません。自分の所得がいくらになるかは、課税証明書や源泉徴収票で確かめられます。

一部免除については、日本年金機構が「一部免除の承認を受けている期間は、減額された保険料を納付している必要があります」と書いています。減らしてもらった残りも払えそうにないなら、ほかの区分に当てはまらないか、申請の段階で窓口に相談してください。

全額免除か納付猶予の承認を受けた人が翌年度以降も希望する場合は、継続して申請があったものとして審査される仕組み(継続審査)もあります。

50歳未満なら納付猶予、学生なら学生納付特例

親と同居していて世帯主である親に所得があると、申請免除の審査が通りにくくなります。20歳以上50歳未満の方には、本人と配偶者の所得だけで審査される納付猶予制度があります。所得の基準は全額免除と同じ計算式です。

学生には学生納付特例があり、前年所得の基準は「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」です。

どちらも、年金を受け取るのに必要な10年の期間には数えられますが、そのままでは年金額に反映されません。反映させるには、後で述べる追納が要ります。

仕事を辞めたときは、失業の特例

会社を辞めた直後は、在職中の前年所得が高いために、申請免除の基準を超えてしまうことがあります。そのための特例です。

日本年金機構によれば、退職による特例免除は、退職した人の前年所得をゼロとして審査します。前年の所得が多くても、失業等のあった月の前月から免除が受けられます。ただし、退職した人を除く審査の対象者、つまり世帯主や配偶者の所得は審査されます。

雇用保険の被保険者だった人は、雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知、雇用保険被保険者離職票などのコピーを申請書に添えます。退職したことを書類で確かめられるかどうかが、この特例の入口です。雇用保険に入っていなかった人がどんな書類を用意すればよいかは、年金事務所か市区町村の国民年金の窓口で確かめてください。

さかのぼれるのは2年1か月、払い直せるのは10年

免除や猶予は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間、つまり申請時点から2年1か月前までさかのぼって申請できます。納付書をためてしまった月も、この範囲なら今から申請できるかもしれません。

免除や猶予を受けた期間の保険料は、10年以内なら後から納められます。追納といいます。承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に納めると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。日本年金機構によれば、1年分を追納すると、全額免除の期間なら老後の年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増えます。追納した保険料は社会保険料控除の対象です。

申請書の提出先は、住所地の市区役所・町村役場の国民年金担当窓口か年金事務所です。郵送でも出せますし、電子申請の窓口も用意されています。

先のことに見えて、いまの話です

年金は数十年先のことに聞こえます。けれど障害年金の納付要件のように、いま手続きをしたかどうかが、明日の病気やけがに直接かかわる部分があります。

私たちは年金の専門家ではないので、あなたが将来いくら受け取れるかをお答えすることはできません。それでも、どの窓口に何を持って行けばよいかを一緒に確かめることはできます。年金だけでは暮らしが成り立たない高齢の方の場合は高齢の方の生活保護の記事を、生活保護で受け取れる額の目安は支給額の記事をご覧ください。

NPO法人暮らし就労支援協会は、横浜市西区で住まいと仕事の相談をお受けしています。収入が途切れて、保険料も家賃も重くなってきた、という段階のご相談もどうぞ。

まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました