大家さんから立ち退きを求める書面が届いた。消費者金融の督促が止まらない。離婚の話が進まず、養育費も決まらない。こういう相談を受けると、私たちはまず「法テラスに電話してみましょう」とお伝えします。
弁護士に相談するとお金がかかる、という印象を持っている方は多いと思います。法テラス(日本司法支援センター)は、総合法律支援法にもとづいて国が作った法人で、収入と資産が一定以下の方を対象に、弁護士・司法書士との無料の法律相談と、依頼する費用の立替えをしています。民事法律扶助と呼ばれる仕組みです。
無料で相談できるのは、1つの問題につき3回まで
無料法律相談は1回30分で、同じ問題について3回まで使えます。原則として予約が必要です。相談できるのは借金や債務整理、離婚や養育費、解雇や未払い賃金などの労働問題、相続、貸したお金や損害賠償などの金銭トラブルといった、民事・家事・行政の問題です。刑事事件の相談は対象外です。
相談したからといって、その弁護士に依頼しなければならないわけではありません。3回の範囲なら、別の弁護士・司法書士に相談し直すこともできます。持っていくものは、裁判所や相手から届いた書類(訴状、呼出状、請求書など)。借金の相談なら、借入先の名前と住所、借りた時期、いまの残高を一覧にしたメモを用意するよう法テラスは案内しています。
収入と資産の基準
基準は手取りの平均月収(賞与を含む)と、現金・預貯金の額で見ます。原則は本人と配偶者の合計ですが、離婚のように配偶者が相手方の場合は本人の分だけで判断します。住んでいる地域で基準額が変わり、法テラスの一覧では横浜市、川崎市、鎌倉市、藤沢市、逗子市、横須賀市、相模原市、厚木市など神奈川の多くの市と葉山町が、東京23区や大阪市と同じ高いほうの基準の地域に入っています。
| 家族の人数 | 収入基準(一級地) | 収入基準(それ以外) | 資産基準 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 200,200円 | 182,000円 | 180万円以下 |
| 2人 | 276,100円 | 251,000円 | 250万円以下 |
| 3人 | 299,200円 | 272,000円 | 270万円以下 |
| 4人 | 328,900円 | 299,000円 | 300万円以下 |
家族が1人増えるごとに、収入基準に一級地は33,000円、それ以外は30,000円を足します。表の額を少し超えていても、家賃や住宅ローン、医療費、教育費を払っているなどの事情があれば、基準を満たす可能性があると法テラスは書いています。たとえば家賃は、1人なら41,000円まで収入から差し引いて考えられます。一覧は改定されることがあるので、自分がどちらに当たるかは予約のときに確かめてください。
依頼する費用の立替えと、生活保護を受けている方の返済
相談だけで片づかず、弁護士や司法書士に依頼することになったら、着手金や実費を法テラスが立て替える制度があります。条件は3つで、収入と資産が基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと(自己破産なら免責の見込みがある、など)、民事法律扶助の趣旨に適すること。審査は申込みから決定まで通常2週間ほどです。立て替えた費用は分割で返し、利息はかかりません。
生活保護を受けている方も使えます。法テラスのよくある質問では、受給中の間は返済が猶予され、事件がすべて終わったあとも受給していれば返済の免除を申請できる、と案内されています。自己破産の予納金は原則として立替えの対象外ですが、生活保護を受けている方は例外として対象になります。
ただし、免除は自動ではありません。事件がすべて終わってから、申請日前3か月以内に発行された生活保護受給証明書をつけて申請します。相手方からお金を受け取った場合は、原則としてその25%にあたる額を返済に充てていないと免除できない、とも書かれています。生活保護と借金の整理をどちらから進めるかは債務整理の記事に、借金があっても生活保護を申請できるかは借金と生活保護の記事に書きました。
神奈川での窓口
神奈川県内の法テラスの事務所は、横浜(中区山下町、0570-078308)、川崎(0570-078309)、小田原(0570-078311)の3か所で、どこも予約の電話は平日9時から17時です。面談のほか電話での相談もできます。高齢の方や障害のある方で事務所まで行くのが難しい場合は、自宅などへの出張相談を使えることもあります。法テラスと契約している県内の弁護士・司法書士の事務所に、直接予約して相談することもできます。
どこに相談すればいいかも分からないときは、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時から21時、土曜9時から17時)へ。オペレーターは法律相談はしませんが、制度や相談先を案内してくれます。
家賃の滞納で退去を迫られている方は家賃滞納と追い出しの記事、退去時の敷金や修繕費でもめている方は原状回復のガイドラインの記事も読んでみてください。どの手続きが向いているかは、弁護士・司法書士に聞いて判断してください。住まいを失いそうなときの相談は住居支援のページか、無料の相談前チェックからどうぞ。法律の判断は専門家につなぎ、当会は暮らしの立て直しのほうをお手伝いします。
出典
・無料法律相談の回数・時間・予約、相談できる内容、収入と資産の基準額、家族1人ごとの加算、家賃・住宅ローンの控除限度額:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html(確認日2026年10月14日)
・立替制度の3つの条件、分割返済・利息なし:法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyou.html(確認日2026年10月14日)
・基準額の高い地域(一級地)の一覧:法テラス「生活保護の基準に定める一級地」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/seikatsuhogo-ikkyu.html(確認日2026年10月14日)
・別の弁護士への相談、持参する書類:法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/soudanqa.html(確認日2026年10月14日)
・審査期間、生活保護受給中の返済猶予と免除申請、自己破産の予納金の扱い:法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html/「民事法律扶助業務」https://www.houterasu.or.jp/site/bengoshitou-fujo/(確認日2026年10月14日)
・免除申請の時期、生活保護受給証明書、受領金の25%の充当:法テラス「立替金の償還免除申請に関するよくあるお問合せ」https://www.houterasu.or.jp/site/houterasuuser/menjyoshinsei.html(確認日2026年10月14日)
・神奈川県内の事務所と予約電話、出張法律相談:法テラス「法テラス神奈川」https://www.houterasu.or.jp/site/chihoujimusho-kanagawa/(確認日2026年10月14日)
・サポートダイヤル:法テラス「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」https://www.houterasu.or.jp/site/soudanmadoguchi-houseido/support-dial.html(確認日2026年10月14日)
・民事法律扶助の根拠:総合法律支援法 第4条、第30条 e-Gov法令検索https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000074(確認日2026年10月14日)

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