心の不調による労災が1,082件、また増えました|過労死等防止対策白書と、11月7日の無料電話相談

机で頭を抱えて悩む人 仕事・自立

10月9日、令和8年版の「過労死等防止対策白書」が公表されました

政府は2026年10月9日、令和8年版の「過労死等防止対策白書」を閣議で決め、厚生労働省が公表しました。過労死等防止対策推進法にもとづいて毎年国会に出している報告で、今回が11回目です。中身は、令和7年度の働き方や労災の状況と、国が取り組んだ対策のまとめです。

白書の数字を並べると、はっきりした傾向が1つ見えてきます。長く働く人は減っている。けれど、心の不調で労災と認められる人は増え続けている、ということです。

数字で見ると

  • 週40時間以上働く人のうち、週60時間以上働いている人の割合は7.7%。前の年より0.3ポイント下がり、長い目で見ても減っています
  • 脳や心臓の病気(脳出血、心筋梗塞など)で労災と認められた件数は217件。前の年度より24件減りました
  • うつ病などの精神障害で労災と認められた件数は1,082件。前の年度より26件増え、令和元年度から増え続けています
  • 仕事や職場のことで強い不安や悩み、ストレスがあると答えた働く人は67.5%

働く時間の長さだけを見ると、状況はよくなっています。それでも、心の不調で仕事を続けられなくなる人は減っていません。

なぜ心の不調の労災が増えているのか

白書は、精神障害の労災の中身を、きっかけになった出来事ごとに分けて調べています。その中でいちばん伸びているのは「対人関係」で、とくに「上司とのトラブル」が大きく増えているそうです。都道府県の労働局に寄せられる相談でも、「いじめ・嫌がらせ」や「パワーハラスメント」の件数が増えています。

白書は、職場の人間関係で心の調子を崩している人が多いことは明らかだ、としつつ、それが労災の請求が増えた原因なのかどうかは「なお分析の余地がある」と書いています。ここは、まだ言い切れない部分です。

脳や心臓の病気のほうにも、気になる分析があります。週60時間以上働く人は減っているのに、労災の請求は増える傾向にあります。認められた件数のうち、月の残業が80時間に届かない人の件数が少しずつ増えていることも示されました。白書は、主な理由を50歳以上の人からの請求が増えたことと見ています。年齢とともに、こうした病気にかかりやすくなるためです。

メリット:11月は、相談の窓口が広がります

11月は「過労死等防止啓発月間」です。厚生労働省は10月8日、今年も「過重労働解消キャンペーン」を行うと発表しました。働いている本人や家族が、無料で電話相談できる日があります。

  • 過重労働解消相談ダイヤル:0120-794-713(無料)
    11月7日(土)9時〜17時。労働基準監督官が直接受けます
  • 労働条件相談ほっとライン:0120-811-610(無料)
    11月7日(土)は9時〜21時。ふだんも平日17時〜22時、土日祝日9時〜21時に受け付けています(12月29日〜1月3日は休み)

11月1日から7日(1日と3日を除く)は「過重労働相談受付集中期間」で、各地の労働局や労働基準監督署も、長時間労働などの相談や情報を重点的に受け付けます。

平日の昼は仕事で電話できない、という人でも、土曜日や夜に相談できます。ほっとラインは匿名でも相談でき、携帯電話からもかけられます。「会社に知られたら困る」という段階でも使いやすい窓口です。

注意点:労災は、自分で請求しないと始まりません

労災の補償は、本人や家族が労働基準監督署に請求して初めて手続きが始まります。会社が手続きに協力してくれない場合でも、自分で請求することはできます。認められるかどうかは、監督署が調べて決めます。

心の不調の場合、いつ、どんな出来事があったのかが調べの中心になります。言われたこと、された日時、残業の時間などを、その時々にメモしておくことが、あとで自分を守る材料になります。

もう1つ、労働条件相談ほっとラインは、法律や制度の説明をしたり、相談先を案内したりする窓口です。ほっとライン自体が会社に指導することはできません。会社に動いてもらう必要があるときは、案内された労働基準監督署などへつなぐことになります。

課題:働く時間だけでは、追いきれなくなっている

白書の数字からは、これまでの対策の中心だった「長時間労働を減らす」ことだけでは、心や体を壊す人を減らしきれないことが見えてきます。人間関係のトラブルは、働く時間の記録には表れません。

小さな職場ほど対策が届きにくいことも分かります。働く人が50人に満たない事業場で、ストレスチェックをしているのは32.5%。国の目標の50%にはまだ届いていません。相談できる人事の担当者や産業医がいない職場も多く、一人で抱えこんで、辞めるか倒れるかの二択になってしまうことがあると考えられます。

心の調子を崩して仕事を休んだり辞めたりすると、まず収入が減ります。会社の健康保険に入っていれば、休んでいるあいだに給料のおよそ3分の2が出る「傷病手当金」という制度がありますが、それでも手取りは減ります。一方で、家賃や光熱費、携帯代は、休んでいるあいだも毎月同じように引き落とされます。体と心を休めるためにも、出ていくお金の側を一度見ておくことには意味があります。

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困っている方へ

職場のことでつらい、眠れない、朝になると体が動かない。そう感じているなら、まず休むこと、そして誰かに話すことを考えてください。働き方や労災のことは、上の無料電話や、お近くの労働基準監督署で相談できます。体や心の不調は、早めに医療機関にかかってください。

仕事を辞めて収入が途切れそう、家賃が払えなくなりそう、次の仕事をどう探せばいいか分からない――そうした暮らしのことでお困りでしたら、NPO法人暮らし就労支援協会にご相談ください。住まいのご相談と就労のご相談の両方をお受けしています。相談は無料です。

生活費がどうしても足りないときは、お住まいの市区町村の福祉事務所(区役所・市役所の生活支援課など)でも相談できます。相談だけでも受け付けてもらえます。

出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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