生活保護と債務整理、どちらが先か|申請を止めなくていい理由

生活保護申請の書類が置かれた机 制度・お金

「借金があると生活保護は受けられないんですよね」。相談の電話で、この一言から始まることがよくあります。

違います。借金があっても生活保護は申請できます。ここを最初に、はっきり書いておきます。

この誤解のせいで、何か月も申請を先延ばしにしていた方に何人も会いました。その間に督促は増え、利息は積み上がり、体調は落ちていく。誤解だけで失われた時間としては、あまりに大きい。

それでも債務整理が必要になる理由

申請できる、という話と、借金を放っておいてよい、という話は別です。

生活保護費は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するために支給されるお金です。ですから、そこから借金を返済することは認められていません。保護を受けながら毎月の返済を続ける、という形は制度上とれないのです。

つまり、こういう状態になります。生活保護は受けられる。でも借金は残っていて、返せない。この宙ぶらりんを解くために、債務整理という手続きが要ります。

借金があるときの申請そのものについては借金があると生活保護は受けられないのかという記事に詳しく書きました。

順番の考え方

では、どちらを先にやるのか。

現場での答えは「生活保護の申請を止めない」です。債務整理が終わるのを待ってから申請しよう、と考える方がいますが、これは逆です。債務整理には数か月から一年ほどかかることがあり、その間の生活が持ちません。

実務的な進め方

生活保護の申請は、いま出す。
債務整理は、それと並行して進める。
どちらかが終わるのを待たない。

窓口で借金のことを聞かれたら、隠さずに話してください。多くの福祉事務所は債務整理の相談先を案内してくれます。隠したまま進めても、通帳や調査で結局わかります。

申請の手順は申請方法の記事にまとめています。

費用の心当たりは、まず法テラス

弁護士や司法書士に頼むお金がない。これが次の壁になります。

ここで最初に見てほしいのが法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助です。国の制度なので、まずここから検討してください。

内容は大きく二つあります。ひとつは無料の法律相談。収入と資産が基準以下であれば、費用をかけずに弁護士や司法書士に相談できます。もうひとつが費用の立替です。代理を依頼したり書類を作ってもらったりする費用を法テラスが立て替え、利用者は分割で返していきます。

利用の条件は三つ。資力が基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適すること。債務整理は通常この枠に収まります。

生活保護を受けている場合の扱い

ここが重要です。生活保護を受けている方は、援助が終わるまで立替金の償還が猶予されることがあります。つまり、手続きの最中に毎月返していかなくてよい。

さらに、すべての援助事件が終わったあと、償還の免除を申請できる仕組みがあります。免除されるかどうかは審査によりますが、申請できる道があるということは知っておいてください。生活保護を受けていなくても、それに準ずる程度に生計が困難であれば、一定の要件で猶予を受けられることがあります。

(出典:法テラス「民事法律扶助業務」 https://www.houterasu.or.jp/site/bengoshitou-fujo/ /「立替金の償還免除申請に関するよくあるお問合せ」 https://www.houterasu.or.jp/site/houterasuuser/menjyoshinsei.html /確認日 2026-08-24。基準額や運用は改定されることがあるため、必ず法テラスへ直接ご確認ください)

依頼した時点で、督促が止まります

これも知られていないことのひとつです。

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、その専門家から債権者へ受任通知が送られます。貸金業者は、この通知を受け取ったあと、正当な理由なく債務者本人に直接取立てをすることを法律で禁じられています(貸金業法第21条第1項第9号)。

毎日かかってきていた電話が止まり、郵便が届かなくなる。この効果を、依頼した方はほぼ全員が口にします。「久しぶりに眠れました」と。

ただし限界もあります。この規定が対象にしているのは貸金業者や債権回収会社です。個人からの借入や、それ以外の相手には及ばないことがあります。すべてが止まると期待しすぎないでください。

自己破産をすると生活保護はどうなるか

自己破産をしたことで生活保護が受けられなくなる、ということはありません。逆に、生活保護を受けているから破産できない、ということもありません。両方が並び立ちます。

破産のときに問題になるのは、手元に残せる財産の範囲です。生活に必要な家財は残せますし、そもそも生活保護の申請を検討する状況であれば、換価される財産がほとんどないことが多い。

どの手続きが向いているか(任意整理か、個人再生か、自己破産か)は、借入の額、相手先の数、収入の見通しで変わります。ここは専門家の判断が要る領域なので、この記事では断定しません。法テラスの無料相談で、自分の場合はどれかを聞いてください。

借りて返す、から抜けるために

借金の相談で共通しているのは、生活費が足りないところを借入で埋めてきた、という経緯です。だから、整理が終わっても家計の構造が同じなら、また同じところへ戻ります。

整理と並行して、毎月出ていくお金を落としておく必要があります。何から手をつけるかは固定費から見直す記事に書きました。

私たちは、生活保護の申請の同行と、債務整理の相談先へつなぐところまでを一緒にやっています。どちらから手をつけるか、自分では決められない状態でかまいません。無料の相談前チェックに、借入の状況といまの収入を書けるだけ書いて送ってください。金額が正確でなくても大丈夫です。(※同行は一部エリアに限られます。)

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