食料品の消費税を1%にする法案が国会へ|働く人への新しい「支援金」、金額はまだ決まっていません

中身が空の財布 仕事・自立

10月9日、「食料品の消費税を1%に」する法案が国会に出されました

政府は2026年10月9日、食料品にかかる消費税を2年間だけ下げることと、働いている人に新しいお金を支給することを、1本にまとめた法律案を閣議で決め、いま開かれている臨時国会(第222回国会)に提出しました。

法案の名前はとても長いのですが、中身は大きく2つです。

  • 食料品の消費税を、2027年4月から2年間、8%から1%に下げる
  • 働いて一定の収入がある人に、「就業者負担軽減支援金」というお金を年1回支給する

ここに至るまでには、7月29日に社会保障国民会議の「中間とりまとめ」、8月5日に「給付付き税額控除」の基本方針、9月15日に法案のもとになる「大綱」がそれぞれ決まっています。

ただし、法案は国会に出されただけで、まだ成立していません。 参議院の議案情報(10月13日現在)でも、衆議院・参議院とも委員会や本会議の議決の欄は空いたままです。この記事は、提出された法案と政府の資料に書かれていることをもとに、いま分かっていることと、まだ決まっていないことを分けてお伝えします。

食料品の消費税が1%になる、とはどういうことか

いま、スーパーで買う食料品の多くには、軽減税率8%がかかっています。法案では、これを2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、1%にします(国の消費税0.78%と地方消費税0.22%の合計)。

1%になる範囲は、いま8%がかかっている飲食料品と同じです。範囲は広がりも狭まりもしません。ですから、いまも10%がかかっている外食やお酒は、引き続き10%のままです。また、いま8%の対象になっている新聞の定期購読は、今回の引下げからは外されています。

税抜きで月3万円分の食料品を買う世帯なら、消費税は8%で2,400円、1%で300円です。単純に計算すると、月2,100円ほどの差になります。もっとも、店の値段がこの計算どおりに下がるかどうかは、それぞれのお店の値付けによります。

「就業者負担軽減支援金」とは何か

もう1つの柱が、新しくつくられる就業者負担軽減支援金です。法案の目的には、中低所得の働く人の手取りを増やすこと、そして「年収の壁」などで働く時間を抑えている状態をやわらげることが書かれています。

法案に書かれた支給の条件は、次の4つです。

  1. 前の年の働いて得た所得(勤労所得)が、一定の額を超えていること
  2. 前の年の合計所得が、一定の額以下であること
  3. 住民税と社会保険料の負担から、公的年金などの収入を差し引いた額が、一定の額を超えていること
  4. 配偶者がいる場合、配偶者の所得が一定の額以下であること(この条件は2029年度から)

このほか、毎年1月1日の時点で日本に住所があることが必要です。

受け取り方も法案に書かれています。

  • 年1回の支給です
  • 1月1日時点で住所のある市区町村に請求し、認定を受けるのが原則です
  • マイナンバーに公金受取口座を登録している人は、市区町村が請求を待たずに認定できる仕組みがあります
  • 認定から2か月以内に支払われます
  • 支援金を受け取る権利は、国税の滞納処分などを除いて差し押さえられず、受け取ったお金に税金はかかりません

子どもがいる世帯には、子どもの数に応じた加算も設けられます(2027・2028年度は16歳未満、2029年度からは19歳未満の扶養している子どもが対象)。

まだ決まっていないこと ― 金額も、所得の線も

ここがいちばん大事なところです。上の条件に出てくる「一定の額」は、どれも法律ではなく、あとから政令(政府が決める決まり)で定めることになっています。支援金の金額も同じです。

つまり、10月17日の時点では、

  • 年収いくらから、いくらまでの人がもらえるのか
  • 1人いくらもらえるのか

は、どちらも決まっていません。

政府の大綱の資料には、検討の材料として、いくつかの数字が並んでいます。社会保障国民会議では、対象の下限として給与収入でおよそ106万円超、74万円超、53万円超という3つの意見が出ていたこと。また、住民税が非課税になる線(単身で給与収入119万円)より下の人は、所得を正確につかむのが難しいため定額を支給する考え方であること、などです。ただしこれらは考え方を示したもので、決まった金額ではありません。

「年収◯万円なら◯万円もらえる」という話を見かけても、いまの段階ではまだ確かなものではない、と受け止めてください。

メリット:食料品の値段は、働いていない人にも届く

消費税の引下げは、収入があるかどうかに関係なく、食料品を買うすべての人に届きます。 年金で暮らしている方、病気で働けない方、生活保護を利用している方も、レジで払う額が変わります。食費は削りにくい支出なので、ここが下がることには意味があると考えます。

支援金のほうは、「働くほど手取りが増える」ことをねらった設計です。社会保険に入ると手取りが減ってしまう、いわゆる「年収の壁」の手前で働く時間を抑えている方にとっては、壁を越えやすくなる可能性があります。

また、受け取ったお金が差し押さえられない、税金がかからない、と法案に明記されている点も、借金や滞納を抱えている方にとっては大切な点です。

注意点:働いていない人は、支援金の対象から外れる設計

一方で、支援金の条件の1つめは「働いて得た所得が一定の額を超えていること」です。ですから、いま働いていない方、病気や障害で働けない方、年金だけで暮らしている方は、支援金の対象にならない設計になっています。

法案そのものも、この点を認めています。最後の「検討」の条文に、

  • 低い所得で働いている人や、病気などで働くことが難しい人のうち、支援金の対象にならない人への措置を、生活困窮者自立支援制度などとの関係を整理しながら検討し、2028年度中に結論を出す
  • 働いていない高齢の方などが、支援金と既存の社会保障の両方から取り残されないよう、年金や生活保護との関係を整理して検討する

と書かれています。つまり、対象にならない人をどうするかは、これから検討されるということです。

もう1つ、生活保護を利用している方への扱いです。生活保護では、受け取ったお金の多くが「収入」として数えられ、その分保護費が調整されます。支援金を生活保護でどう扱うのかは、法案の概要や要綱には書かれていません。 今後示されると考えられますので、決まるまでは「もらえる」「減らされる」のどちらとも言えない状態です。

課題:「住所」と「請求」が入口になる

当会で住まいのご相談を受けていると、住民票の住所と、実際に寝泊まりしている場所が違う方や、住まいを失って住民票が宙に浮いている方に、少なからずお会いします。

支援金は、1月1日時点で住所のある市区町村に請求するのが原則です。公金受取口座を登録していれば請求なしで認定できる仕組みもありますが、口座の登録や、市区町村からの通知を受け取ること自体が難しい方もいます。

短い時間で働いている方、仕事を転々としている方ほど、所得の記録や住所が途切れやすく、本来は対象になるはずの人ほど、手続きの入口でつまずきやすいのではないかと考えます。制度の中身と同じくらい、知らせ方と受け取り方の設計が大事になるはずです。

また、消費税の引下げは2年間の期限つきです。2029年4月以降は、支援金の本格的な仕組みに移る計画とされていますが、その中身もこれからです。制度が固まるのを待つあいだにも、仕事と暮らしは続きます。支援金が「働いている人」を対象にする以上、まず仕事につながることが、受け取れるかどうかの分かれ目にもなります。

あわせて読みたい

スマホだけで求職が止まる|パソコンがないときにまず使う場所
履歴書づくりや応募の手続きが、スマホだけでは進まないことがあります。パソコンが手元にないときに、どこで何ができるかをまとめています。

困っている方へ

今回の法案は、まだ国会で審議される段階です。いますぐ何かの手続きをする必要はありません。 「支援金の申請を代わりにします」といった電話やメールが来ても、制度そのものがまだ決まっていませんので、応じないでください。

そのうえで、いまの収入では食費や家賃が苦しい、働きたいけれど何から始めればいいか分からない、住まいが不安定で役所からの通知が届くか心配――そうしたことでお困りでしたら、NPO法人暮らし就労支援協会にご相談ください。住まいのご相談と就労のご相談の両方をお受けしています。相談は無料です。

生活保護の相談・申請は、お住まいの市区町村の福祉事務所(区役所・市役所の生活支援課など)が窓口です。相談だけでも受け付けてもらえます。

出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

コメント

タイトルとURLをコピーしました