実質賃金、7か月続けてプラス|平均43万円はボーナス込み。パートの月給は12万3千円

就職の面接で握手する様子 仕事・自立

厚生労働省が9月8日に発表した7月分の毎月勤労統計で、物価の上がり方を差し引いた「実質賃金」が、前の年の同じ月より2.4%増えました。1月から数えて7か月続けてのプラスです。

ニュースでは「賃金が物価に追いついた」という伝え方が目立ちました。数字としてはそのとおりです。ただ、発表資料を開いてみると、この数字に自分の暮らしが入っているかどうかは、働き方によってかなり違うことが分かります。

何があったのか

毎月勤労統計は、従業員5人以上の事業所に毎月の給与を聞いている国の統計です。7月分の速報(令和8年9月8日公表)の主な数字を並べます。

項目 7月の額 前年同月比
現金給与総額(一人平均) 436,401円 4.7%増
 うち毎月決まって支払われる給与 301,582円 4.1%増
 うちボーナスなど特別に支払われた給与 134,819円 6.3%増
実質賃金(現金給与総額) 2.4%増
物価(持家の帰属家賃を除く総合) 2.2%上昇

実質賃金は、2025年の1年間を通すと1.3%のマイナスでした。2022年から4年続けて下がっていたものが、今年に入って上向いた、というのが今回の発表の中身です。

「実質賃金」が表しているもの

給料の額面が5%増えても、物の値段が5%上がっていたら、買える量は変わりません。実質賃金は、額面の伸びから物価の伸びを差し引いて、買える量が増えたのか減ったのかを見るための数字です。

7月は額面が4.7%増え、物価が2.2%上がったので、差し引きで2.4%のプラスになりました。単純な引き算と少しずれるのは、指数どうしの割り算で計算しているためです。

良くなっていること

パートタイムで働く人の時給が上がっています。7月のパートの時間当たり給与(所定内)は1,460円で、前の年から5.7%上がりました。一般労働者の所定内給与の伸び(3.9%)より大きい数字です。

厚生労働省は、調査する事業所の入れ替えによる影響を除くため、「前の年と同じ事業所どうし」で比べた数字も出しています。こちらでもパートの現金給与総額は5.1%増でした。時給の底上げは、統計の見かけではなく、実際に起きていると見てよさそうです。最低賃金の引き上げが毎年続いていることと無関係ではないと、私たちは考えています。

注意して見ておきたいこと

平均の43万円は、ボーナス込みの数字です

7月は夏のボーナスが支払われる月です。43万6,401円のうち13万4,819円は、ボーナスなど特別に支払われた給与でした。

9月11日には、同じ厚生労働省が大企業の夏のボーナスの集計を出していて、平均妥結額は976,043円、3年続けて過去最高を更新しました。ただしこの集計の対象は、資本金10億円以上・従業員1,000人以上で、労働組合のある企業365社です。

働き方で分けると差ははっきりします。7月の現金給与総額は、一般労働者が578,123円、パートタイム労働者が123,493円でした。ボーナスのない働き方をしている人にとって、7月の「2.4%増」の大半は、よその話です。

同じ事業所どうしで比べると、伸びは小さくなります

先ほどの「同じ事業所どうし」の比較では、全体の現金給与総額の伸びは2.8%増でした。見出しの4.7%よりかなり低い数字です。厚生労働省はこの系列で実質賃金を出していないので単純には比べられませんが、同じ月の物価の上昇が2.2%だったことを考えると、余裕のある差とは言えません。

従業員4人以下の職場は入っていません

毎月勤労統計の数字は、断りのない限り5人以上の事業所の結果です。小さな飲食店や個人でやっている工務店などで働く人の給料は、この平均に入っていません。

物価の伸びは強まっています

実質賃金の計算に使う物価の指数は、6月の1.9%上昇から、7月は2.2%上昇へと伸びが大きくなりました。

そこへ、国の電気・ガス料金の値引きが、9月使用分(10月の検針分)でいったん区切りを迎えます。家庭向けの電気なら1kWhあたり3.5円の値引きでした。10月使用分から先については、この記事の確認日(9月13日)の時点で、延長の発表を確認できていません。

賃金とは別の仕組みで暮らしている人に、この数字は届かない

課題として挙げたいのは、この統計が「働いて給料を受け取っている人」の平均だということです。

年金や生活保護費のように、賃金とは別の仕組みで額が決まる収入で暮らしている方には、実質賃金がプラスになっても、入ってくるお金は同じようには増えません。上がるのは物価のほうだけです。仕事を探している途中の方、体を壊して働けない期間にいる方も同じです。

「賃金が物価を上回った」と聞いて、自分だけ取り残されたように感じた方もいると思います。それは家計の見方がおかしいからではありません。平均の数字が、そもそも違う人たちを数えているからです。

入ってくる額がすぐには動かせないとき、先に手をつけられるのは出ていく側です。とくに電気代は、10月の検針分から値引きがなくなる見込みなので、秋のうちに契約や使い方を見ておく意味があります。

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パートの時給は、この1年で平均5.7%上がっています。同じ仕事を続けていて時給が長く変わっていないなら、それ自体が一つの判断材料になります。

生活保護の相談・申請は、お住まいの市区町村の福祉事務所(区役所・市役所の生活支援課など)が窓口です。働いていても、収入が国の定める最低生活費に届かなければ申請できます。相談だけでも受け付けてもらえます。

出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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