国保料の滞納、185万世帯に増えました|払えないとき、督促状を置く前に確かめる4つのこと

制度・お金

何があったのか

厚生労働省は2026年(令和8年)9月9日、「令和6年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況」を公表しました。自営業の方、パートやアルバイトで職場の健康保険に入っていない方、仕事を辞めた方などが加入する、市区町村の国民健康保険(国保)のお金の出入りをまとめたものです。

その中に、保険料が払えていない世帯の数も載っています。

  • 保険料(税)を一部でも滞納している世帯:185.2万世帯(2025年6月1日時点。前の年より2.2万世帯増)
  • 国保に入っている全世帯に占める割合:11.9%(前の年より0.5ポイント上昇)
  • 保険料の収納率:93.99%(前の年度より0.21ポイント低下)
  • 1人あたりの保険料(調定額):107,856円(前の年度より6.8%増)
  • 1世帯あたりの所得(課税標準額):108.8万円(前の年度より3.5%減)

地域別に見ると、神奈川県は滞納世帯が144,910世帯で割合は13.4%、静岡県は39,654世帯で8.9%でした。

わかりやすい解説

滞納している世帯が、また増えはじめた

資料には2018年からの推移が載っています。滞納世帯は2018年の267万世帯から毎年減り、2024年には183万世帯まで下がっていました。今回の185.2万世帯は、この表の中で初めて前の年より増えた数字です。

加入している世帯の数そのものは毎年減っています(2024年度末で1,542万世帯)。世帯が減っているのに滞納している世帯が増えたので、割合も11.4%から11.9%に上がりました。

保険料は上がり、所得は下がった

1人あたりの保険料は、前の年度の100,997円から107,856円へ、6.8%上がりました。一方で、加入世帯の1世帯あたりの所得(課税標準額)は112.7万円から108.8万円へ、3.5%下がっています。

国保は、会社を辞めた方、年金で暮らす方、収入の不安定な方が多く入る保険です。払う額は上がり、払う側の懐は細っている。滞納が増えた背景には、このずれがあると考えられます。

払えないと、どうなるか

資料には、市区町村が行った滞納への対応も載っています。2024年度に差し押さえを行った世帯は338,709世帯、差し押さえた金額は合計658.9億円でした。差し押さえを行った市区町村は全体の92.9%にのぼります。

また、特別な事情がないのに滞納が続くと、病院の窓口でいったん医療費の全額(10割)を払う扱い(特別療養費)になることがあります。後から保険の分を請求して戻してもらう仕組みですが、全額をその場で払えない人にとっては、病院に行けなくなるのと同じです。

メリット

今回の発表で何かが新しく始まったわけではありません。ただ、数字と一緒に確認しておくと、使える仕組みが見えてきます。

所得が低い世帯は、申告さえしていれば保険料が自動で軽くなります。

世帯の所得が基準以下なら、保険料のうち人数に応じてかかる部分(均等割)が7割・5割・2割のいずれかで減額されます。自分で申請しなくても適用されます。ただし、世帯の中に収入の状況が分からない人がいると、減額できません。収入がなかった年も、住民税の申告(簡易な申告)を済ませておくことが前提です。

会社の都合で辞めた人は、保険料の計算が大きく変わります。

倒産や解雇、雇い止めなどで離職し、雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」にあたる65歳未満の方は、前の年の給与所得を30/100(3割)とみなして保険料を計算してもらえます。こちらは届け出が必要です。横浜市の場合、雇用保険受給資格者証(またはマイナンバーカードで失業認定をしている方は受給資格通知)の原本を持って、区役所の保険年金課へ行きます。離職票や退職証明書では受け付けてもらえません。

短期の保険証や資格証明書の交付は大きく減りました。

有効期限の短い「短期被保険者証」を受け取った世帯は前の年の33.7万世帯から4.1万世帯へ、「資格証明書」は7.7万世帯から4.3万世帯へ減っています。2024年12月に保険証の新規発行が終わり、こうした証の仕組みもなくなったことが影響していると考えられます。

デメリット・注意点

「払えない」と伝えなければ、軽くする仕組みは動きません。

自動で適用されるのは低所得の軽減だけです。失業による軽減、所得が大きく減ったときの減免、納付を待ってもらう猶予は、どれも自分から相談しないと始まりません。

滞納した分は消えません。

減免は、これから払う保険料を軽くするものです。すでにたまった滞納分は、分けて払う相談をすることになります。放っておくほど延滞金が増え、差し押さえに近づきます。

生活保護を受けると、国保から外れます。

生活保護を受けている世帯の方は国保の対象外です。保険料はかからなくなり、医療費は医療扶助でまかなわれます。逆に言えば、保護が始まったら国保をやめる手続きも必要です。

課題

市区町村の国保は、2024年度に一般会計から決算の穴埋めなどのため923億円を繰り入れ、それを除くと235億円の赤字でした。財政が苦しいので、保険料を上げ、徴収も強めることになります。一方で、多重債務の相談を行っている市区町村は38.0%にとどまります。取り立ては9割以上の市区町村が行い、生活を立て直す相談は4割弱という差があります。

住まいと仕事の相談を受けていると、国保料の督促状を封も切らずに置いている方に出会います。家賃、携帯代、光熱費、税金と、払えていないものが重なると、どこから手をつければいいか分からなくなるからです。

国保料は、市区町村の窓口に行けば「分けて払う」「半年待ってもらう」「計算をやり直す」といった話ができる数少ない支払いです。督促状が届いていたら、まず次の4つを確かめてください。

  1. 世帯全員の住民税の申告が済んでいるか。 収入がなかった人も含みます。済んでいなければ、低所得の軽減が止まっています。
  2. 会社の都合で辞めていないか。 雇用保険受給資格者証の離職理由の番号を確認し、非自発的失業の軽減を届け出ます。
  3. 今年の収入が大きく減っていないか。 減免の対象になるかを保険年金課で聞きます。
  4. 病院にかかりたいのに窓口負担が払えないか。 特別な理由があれば、窓口で払う一部負担金を減額・免除・猶予する仕組みもあります。

払うお金そのものを増やすのは、すぐには難しいかもしれません。けれど、毎月出ていくお金の中には、契約を見直すだけで下がるものもあります。

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相談先

国保の保険料の軽減・減免・分けて払う相談は、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口が担当です。横浜市では、各区役所の保険年金課 保険係です。静岡県内の方は、お住まいの市役所・町役場の国保の担当課にご相談ください。

住まいや仕事のことでお困りのとき

NPO法人暮らし就労支援協会では、お住まいのご相談と就労のご相談をお受けしています。国保料や家賃の支払いが重なって何から手をつければいいか分からない、仕事を辞めて収入が途切れた、というご相談も受けています。相談は無料です。

保険料の計算や減免を決めるのは市区町村です。私たちは、窓口で何を伝えればいいかを一緒に整理し、その間の暮らしを立て直すところをお手伝いします。

出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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