見守りが付いた賃貸住宅が全国で465戸|「居住サポート住宅」が始まって1年、神奈川県は16戸

制度・お金

何があったのか

2025年(令和7年)10月1日、改正された住宅セーフティネット法が施行され、「居住サポート住宅」の認定制度が始まりました。高齢の方、障害のある方、低額所得の方、ひとり親世帯など、部屋を借りるときに断られやすい方に向けて、見守りが付いた賃貸住宅を増やすための仕組みです。

あれから1年が過ぎました。国土交通省が運営する「居住サポート住宅 情報提供システム」で、2026年10月8日時点の認定戸数を数えると、全国で465戸です。

都道府県別に見ると、次のようになっています。

  • 愛知県 94戸、福岡県 84戸、鹿児島県 40戸、北海道 39戸、京都府 29戸
  • 東京都 17戸、神奈川県 16戸、静岡県 14戸、岐阜県 13戸
  • 認定がまだ0戸の県が15県(青森・秋田・山形・福島・新潟・長野・滋賀・奈良・和歌山・鳥取・広島・山口・徳島・佐賀・熊本)

上位5道府県で286戸。全体の6割以上が5つの道府県に集まっています。愛知県と福岡県の2県だけで178戸、全体の約38%です。

わかりやすい解説

居住サポート住宅とは、どういう部屋か

法律上の名前は「居住安定援助賃貸住宅」です。ふつうの賃貸住宅に、次の2つがセットになったものを指します。

  • 日常の安否確認・見守り(訪問による見守り、人感センサーなどICTを使った安否確認)
  • 生活や心身の状況が不安定になったときに、福祉サービスへつなぐこと

つなぐ先は、その方の状況によって変わります。国の資料では、低額所得の方なら自立相談支援機関や福祉事務所、高齢の方なら地域包括支援センター、障害のある方なら基幹相談支援センター、ひとり親世帯なら母子家庭等就業・自立支援センターが例として挙げられています。

サポートを行うのは居住支援法人などです。国の資料には「サポートを行う者は居住支援法人以外も可能」と書かれています。認定するのは市区町村長(福祉事務所を設置しているところ)等で、国土交通省と厚生労働省の共同の省令に基づいて判断されます。

これまでの「登録住宅」と何が違うのか

2017年(平成29年)につくられたセーフティネット登録住宅は、「大家が入居を拒まないこと」と「その物件情報を公表すること」を柱にした仕組みでした。入り口の拒否をなくすことに重きがありました。

今回の居住サポート住宅は、そこから一歩進んで「入居した後に支える人がいること」を柱にしています。大家が不安に思っているのは、貸す前よりも貸した後だからです。国の資料には「高齢者の入居拒否の理由は、居室内での死亡事故等への不安が約9割」と記されています。

メリット

生活保護を利用している方の家賃が、福祉事務所から大家へ直接支払われます。 これが今回いちばん大きな変更かもしれません。居住サポート住宅に生活保護受給者が入居する場合、住宅扶助費(家賃)の代理納付が法律上原則化されました(改正後の住宅セーフティネット法第53条)。

ふつうは、ご本人が住宅扶助費を受け取ってから大家へ家賃を払います。代理納付では、福祉事務所が大家へ直接払い、ご本人には住宅扶助費を差し引いた保護費が渡ります。国の資料には「保護の実施機関は、賃貸人から、住宅扶助費の代理納付を希望する旨の通知を受けたときは、住宅扶助費の代理納付を行うものとする」と書かれています(家賃の口座振替納付が行われている場合などは除きます)。家賃と一緒に払う共益費も、代理納付の対象にできます。

大家の「家賃が入らないかもしれない」という不安が消えます。 保証人が立てられない、緊急連絡先がいない、という理由で断られてきた方にとって、これは入り口が広がる話です。

家賃の保証を、認定された業者が原則として引き受けます。 居住サポート住宅に入る方については、国土交通大臣が認定した家賃債務保証業者が保証を原則引受けすることになっています。

何かあったときに気づいてもらえます。 ひとりで暮らしていて、具合が悪くなっても誰にも言えない。その状態が一番危ないことを、この制度は前提にしています。

デメリット・注意点

数が、まだ圧倒的に足りません。 全国465戸です。神奈川県は16戸。いま住む場所を探している方が「居住サポート住宅を見つけて入る」ことを前提に動くと、ほとんどの地域で行き詰まります。この制度だけを当てにしないでください。

お住まいの地域に1戸もない可能性があります。 15の県では、まだ認定が0戸です。認定するのは市区町村なので、自治体が動き出しているかどうかで差が出ます。

代理納付が原則になるのは、居住サポート住宅に入る場合です。 ふつうの賃貸住宅では原則化されていません。ただし、代理納付そのものは以前から福祉事務所の判断でできる仕組みです。大家が家賃の支払いを心配しているなら、居住サポート住宅でなくても、福祉事務所に代理納付を相談してみる価値があります。

「見守られる」ことの中身は、物件ごとに違います。 訪問で来てもらえるのか、センサーで確認されるのか、どのくらいの頻度か。契約の前に確認してください。生活の中に人やセンサーが入ることをどう感じるかは、人によって違います。嫌だと思うことは、嫌だと言っていい話です。

つなぐ先の窓口が、どこにでもあるとは限りません。 国の資料にも「これらの事業や相談窓口は、自治体によって実施・設置されていない場合がある」と注記されています。サポートが付いていても、つなぐ先がなければ止まります。

課題

居住支援法人は、改正法の施行前の時点で全国に800を超える法人が指定されています。それに対して居住サポート住宅は465戸。支える担い手の数と、実際に認定された住宅の数が、まだ結びついていません。

理由のひとつは、認定を受けるのが大家の側だということです。見守りを付ける体制を整え、申請の手続きを踏むところまで進む大家は、まだ多くありません。空き家は全国に約900万戸あり、そのうち賃貸用が約443万戸あると国の資料は書いています(2023年住宅・土地統計調査の速報集計)。部屋が足りないのではなく、部屋と支える人をつなぐ手続きが進んでいないのです。

改正法では、市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務になりました。住まいの相談窓口から入居前・入居中・退居時の支援までを、住宅の部署と福祉の部署が一緒に見る体制をつくるためです。この協議会が動き出した地域から、認定も増えていくはずです。逆に言えば、いま0戸の県は、その入り口がまだ開いていないということになります。

そして、部屋が見つかったとしても、そこへ移るお金は自分で用意することになります。制度が整うのを待っている間も、家賃の支払いと引っ越しの費用は現実のものとして来ます。

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いま部屋を探している方が、先に確かめること

  1. 国の情報提供システムで、お住まいの地域に認定住宅があるか見てみる。 都道府県から絞り込んで探せます → 居住サポート住宅 情報提供システム
  2. 無ければ、そこで止まらない。 セーフティネット登録住宅という別の仕組みもあり、居住支援法人は全国に800を超えて指定されています。居住サポート住宅でなくても、部屋探しを手伝ってくれる先はあります。
  3. 生活保護を利用していて、大家が家賃の支払いを心配しているなら、福祉事務所に代理納付を相談する。 居住サポート住宅でなくても、代理納付の仕組み自体は使えることがあります。
  4. お住まいの市区町村に居住支援協議会があるか、住宅の部署に聞いてみる。 あれば、そこが住まいの相談の入り口になります。
  5. 見守りの中身を、契約の前に確認する。 誰が、どのくらいの頻度で、どういう方法で確認するのか。聞いておくほうが、後で困りません。

住まいのことでお困りのとき

NPO法人暮らし就労支援協会では、お住まいのご相談をお受けしています。「保証人がいない」「緊急連絡先を頼める人がいない」「生活保護を利用しているので断られる」といったご相談を多くいただいています。相談は無料です。

当会は宅地建物取引業者ではありません。お部屋の仲介はできませんが、何をどの順番で進めればよいかを一緒に整理し、福祉事務所や自治体の窓口、居住支援を行う団体へおつなぎします。生活保護の利用をお考えの場合は、契約の前に福祉事務所へ相談していただくことが大切です。先に契約してしまうと、家賃が住宅扶助の上限を超えていた、という行き違いが起こることがあります。

出典

  • 居住サポート住宅 情報提供システム(国土交通省)― 総認定戸数465戸、都道府県別の戸数 https://support-jutaku.mlit.go.jp/guest/ (2026年10月8日確認)
  • 国土交通省 報道発表資料「居住サポート住宅情報提供システムの公開 ~10月1日より認定制度が始まります!~」(令和7年9月30日・住宅局安心居住推進課)https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000306.html (2026年10月8日確認)
  • 国土交通省 報道発表資料「『住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令』を閣議決定」(令和7年4月22日・住宅局安心居住推進課)https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000298.html (2026年10月8日確認)
  • 国土交通省住宅局安心居住推進課・厚生労働省社会・援護局保護課ほか「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律等について」(令和7年3月)― 認定の仕組み、サポートの内容、代理納付の原則化(改正後の住宅セーフティネット法第53条)、大家の入居拒否感、空き家戸数 https://www.mhlw.go.jp/content/001446697.pdf (2026年10月8日確認)

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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