障害年金をもらっていても生活保護は受けられるのか|障害者加算という上乗せ

地域別

「障害年金をもらっているので、生活保護は無理ですよね」。相談の席で、この確認を受けることがあります。もらえないと思い込んでいるから、窓口にも行っていない。年金だけで何年も持ちこたえてきた、という方に何人もお会いしました。

障害年金を受け取っていることは、生活保護の申請を妨げません。年金は収入として計算に入りますが、それで足りない分を生活保護が埋める、という組み立てになっています。しかも障害のある方には、生活費に上乗せされる加算があります。

年金は「優先して使う」もので、「代わりに使う」ものではありません

この関係は、生活保護法の第4条に書かれています。

生活保護法 第4条第2項(保護の補足性)

民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

優先して行われる、という言い方です。使える年金があるなら先に使ってください、という意味であって、年金があるから生活保護は使えません、という意味ではありません。

では何と比べるのか。第8条が、厚生労働大臣の定める基準で測った需要を基にして「その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行う」と定めています。不足分を補う。ここが制度の芯です。

計算は足し算ではなく、引き算です

まず世帯の最低生活費を出します。年齢・世帯人数・住んでいる地域(級地)で決まる生活扶助に、家賃にあたる住宅扶助、それから後で書く加算を足したもの。次に、その世帯の収入を出します。障害年金は、厚生事務次官通知の収入の認定の項で「恩給、年金、失業保険金その他の公の給付」として扱われ、実際の受給額を認定することとされています。

この二つを比べて、最低生活費のほうが大きければ差額が支給されます。年金の額がいくらであっても、問われるのはこの引き算の結果です。年金があるという一点で門前払いになる話ではありません。

いくらになるかは世帯ごとにまるで違うので、この記事では金額の例を作りません。計算の考え方は支給額の記事に書いています。

障害者加算という上乗せ

最低生活費を出すとき、障害のある方には加算が乗ります。根拠は「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号)の別表第1、第2章です。

対象は二つに分かれています。重いほうは、身体障害者福祉法施行規則の身体障害者障害程度等級表の1級もしくは2級、または国民年金法施行令別表の1級に当たる障害。もう一方は、障害等級表の3級または国民年金法施行令別表の2級に当たる障害です。どちらにも、症状が固定していること、あるいは固定していなくても障害のもとになった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けてから1年6か月を経過していること、という限定がついています。

金額は級地と、在宅か入院・施設入所かで変わります。2026年9月時点の告示では、1級地で在宅の場合、重いほうの区分が月27,460円、もう一方が月18,300円。2級地・3級地はこれより低く、入院や入所をしている場合は別の額が定められています。基準は改定されますので、自分の場合にいくらになるのかは福祉事務所で確認してください。

介護が必要な場合には、さらに二つあります。重いほうの区分に当たる障害があって日常生活のすべてについて介護を必要とする人を、同じ世帯の人が介護する場合には別に13,890円。介護人をつけるための費用が要る場合には、75,820円の範囲内で必要な額。

加算は障害に限りません。ひとり親の母子加算や、高齢の方に関わるものなど、世帯の状況しだいで複数が同時に乗ることもあります。

手帳の等級と、年金の等級は別のものです

ここが一番こんがらがります。告示は「身体障害者障害程度等級表」と「国民年金法施行令別表」という、別々のものさしを並べて書いています。前者は身体障害者手帳の等級、後者は障害年金の等級です。手帳が2級だから年金も2級、とはなりません。逆も同じです。

もう一つ。障害者加算の要件に、精神障害者保健福祉手帳の等級は出てきません。精神の障害で加算に当たるかどうかは、国民年金法施行令別表のものさし、つまり年金の側の等級で見ることになります。手帳を持っているのに加算がつかない、あるいはその逆、という食い違いはここから生まれます。うつ病などで働けない状態が続いている方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

認定に使う資料は、厚生省社会局長通知に書かれています。身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当の受給証明書、福祉手当の認定通知書。これらを持っていない場合は、保護の実施機関が指定する医師の診断書その他障害の程度が確認できる書類による、とされています。

私たちが「あなたは何級に当たります」と言うことはできません。加算をつけるかどうかを判断するのは福祉事務所で、年金の等級を決めるのは日本年金機構です。運用の幅は自治体によっても違います。

医療費は医療扶助で見ます

生活保護を受けている間、保険がきく治療や薬は原則として自己負担なしで受けられます(医療扶助の記事)。通院が続く方にとっては、加算の額より先にここが効いてくることが多いはずです。

自立支援医療(更生医療・育成医療・精神通院医療)を使っている方は、そのまま使えます。自立支援医療には所得に応じた自己負担上限月額の区分があり、生活保護の区分は0円とされています。受給者証の更新のときは、福祉事務所と自治体の障害福祉の窓口の両方に話が通っているか確かめておくと安心です。

年金をまだ請求していない場合

第4条第2項は、裏返せば「使える制度は先に使ってください」ということです。社会局長通知が他法他施策として並べている法律の中には、国民年金法も厚生年金保険法も入っています。障害年金を請求できそうな状況であれば、福祉事務所から請求を勧められることがあります。

ただ、この請求は書類が多く、初診日の証明でつまずくことも珍しくありません。私たちは制度の紹介まではしますが、手続きそのものは年金事務所か、障害年金を扱う社会保険労務士に相談してください。生活保護の申請と年金の請求は並行して進められます。年金の結果が出るのを待ってから申請しなければならない、というものではありません。

窓口へ行くときに

持っていくと話が早いのは、年金証書と直近の振込通知、障害者手帳、通院している医療機関が分かるもの、家賃が分かるもの。診断書が手元にあれば、それも。加算の認定資料がその場でそろえば、判断までの往復が減ります。

年金の額を正確に伝えることをためらう必要はありません。申告した上で足りない分を出してもらう仕組みですから、伏せておくと不利になるだけです。申請の流れと、窓口で断られたと感じたときの考え方もあわせて読んでみてください。

ひとりで抱えなくてかまいません

私たちは横浜市西区のNPO法人で、住まいと仕事の相談をお受けしています。年金の範囲でやりくりしようとして、暖房を我慢したり通院を減らしたりしている方に、これまで何度もお会いしてきました。制度を説明し、窓口に何をどう伝えるかを一緒に整理するところまではお手伝いできます。

まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました