失業保険が出るまでの空白をどうしのぐか|給付制限は原則1か月に、その間の生活保護と求職者支援制度

仕事・自立

「失業保険が出るまで、家賃をどうすればいいでしょう」。退職した直後の方から、この相談を何度も受けてきました。雇用保険の基本手当があるから辞めても何とかなる、と思っていたのに、手続きをしてみたら最初の振込がずっと先だった、という話です。

基本手当は、離職票を出したその日から出るものではありません。振込までの順番と、途中にできる空白を埋める制度を、ハローワークと厚生労働省の資料で確かめながら書いていきます。

振込までに通る段階は、この順番です

ハローワークの受給案内に沿って並べると、こうなります。

基本手当が振り込まれるまで

  1. 住所地のハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す。要件を満たしていれば受給資格が決まる
  2. 待期。受給資格の決定から、失業の状態が通算して7日たつまでは支給されない
  3. 給付制限。正当な理由のない自己都合退職などの場合だけ。原則1か月
  4. 失業の認定。原則4週間に1回の認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績などを確認してもらう
  5. 振込。認定を受けた日数分が口座に入る

待期は、辞めた理由にかかわらず全員にあります。振込について、ハローワークのページは認定を受けた日から通常5営業日、受給案内のリーフレットは金融機関によって違うがおおむね1週間程度としています。

厚生労働省のリーフレットに載っている日程の例では、受給資格の決定から初回の認定日まで4週間あります。会社の都合で辞めた方でも、その例のとおりに進めば、手続きから最初の振込まで1か月あまりかかる計算です。自己都合で辞めた場合は、ここに給付制限が加わります。

自己都合の給付制限は、2025年4月から原則1か月です

正当な理由のない自己都合で退職した場合、待期が終わったあとも一定の期間は基本手当が支給されません。これが給付制限です。厚生労働省によれば、退職日が令和7年(2025年)4月1日以降なら原則1か月、同年3月31日以前なら原則2か月です。

3か月になる場合も二つあります。退職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合と、自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合です。

気をつけてほしいのは、ハローワークインターネットサービスの受給手続きのページに、2026年9月14日の時点でも改正前の「待期期間満了後2か月間」という書き方が残っていたことです。厚生労働省のページと受給案内のリーフレットは1か月に改まっています。

訓練を受けていれば、給付制限そのものが外れます

2025年4月からは、もう一つ変わりました。自己都合で辞めた人でも、決められた教育訓練などを受けた、あるいは受けている場合は給付制限が解除されます。

厚生労働省のリーフレットによると、対象になるのは、令和7年4月1日以降に受講を始めた次の訓練を、離職日前1年以内に受けた人(途中でやめた場合は該当しない)か、離職日以後に受けている人です。教育訓練給付金の対象となる教育訓練、公共職業訓練等、短期訓練受講費の対象となる教育訓練、それらに準ずるものとして職業安定局長が定める訓練の四つです。

自動では外れません。ハローワークに申し出て、訓練開始日が書かれた領収書や訓練実施施設の証明書などを出す必要があり、申し出には期限があります。受給資格の決定日か、決定後の初回認定日まで。初回認定日より後に受講を始めた場合は、受講開始日の直後の認定日までです。期限を過ぎると、受講を始めた日にさかのぼって受け取れない期間が出ます。重責解雇の場合は、この取扱いの対象外です。

公的な職業訓練については職業訓練の記事に、お金をかけずに資格を目指す道は資格の記事に書きました。

額と日数は、人によって違います

基本手当の1日あたりの額(基本手当日額)は、原則として離職した日の直前の6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った金額の、およそ50〜80%です(60〜64歳は45〜80%)。

何日分出るか(所定給付日数)は、離職の日の年齢、雇用保険に入っていた期間、離職の理由などによって、90日から360日の間で決まります。そして受け取れるのは、原則として離職の日の翌日から1年の間だけです。給付日数が残っていても、この期間を過ぎれば支給されません。離職票が届いたら早めに手続きを、と言われるのはこのためです。

待っている間でも、生活保護は申請できます

基本手当が出るまでの間に手元のお金が尽きそうなら、生活保護の申請をためらわないでください。生活保護法第7条は、保護は申請にもとづいて開始すると定めています。基本手当を待っている最中だから申請できない、という決まりはありません。

ただし、雇用保険の手続きはやめずに続けることになります。厚生労働省の社会局長通知は「他法他施策の活用」として特に活用を図るべき法律を並べていて、そこに雇用保険法が入っています。

そして、基本手当が振り込まれれば、その分は収入として扱われます。

厚生事務次官通知 第8の3の(2)のアの(ア)

恩給、年金、失業保険金その他の公の給付(地方公共団体又はその長が条例又は予算措置により定期的に支給する金銭を含む。)については、その実際の受給額を認定すること。

この通知が出た昭和36年は、雇用保険法の前身である失業保険法の時代でした。厚生労働省が福祉事務所向けにまとめた実務資料では、雇用保険の給付の有無、種類、期間、受給金額が、収入として調べる項目に挙がっています。受け取った額の分だけ保護費は少なくなる、と考えてください。どの月の収入として扱うかは福祉事務所が決めます。

収入があったら届け出る義務もあります(生活保護法第61条)。働きながら受給する場合の考え方は働きながら受給する記事に、申請の流れは申請の手順にまとめました。

雇用保険が出ない人には、求職者支援制度があります

加入していた期間が足りない、そもそも雇用保険に入っていなかった。そういう方のための仕組みが求職者支援制度です。無料の職業訓練を受けながら、要件を満たせば職業訓練受講給付金を受け取れます。

職業訓練受講給付金 額(厚生労働省の案内から)
職業訓練受講手当 月10万円
通所手当 訓練施設へ通う定期乗車券などの額(月上限42,500円)
寄宿手当 月10,700円(家族と別居して寄宿する場合)

受け取るための条件は細かく決まっています。本人の収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、今住んでいるところ以外に土地や建物を持っていないこと。そして訓練の実施日すべてに出席すること。やむを得ない理由で欠席する場合でも、8割以上の出席が要ります。出席に厳しい制度なので、体調に不安がある方は申し込む前にハローワークでよく相談してください。

家賃が危ないなら、住居確保給付金

先に家賃の支払いが行き詰まりそうなら、住居確保給付金も候補になります。生活困窮者自立支援法にもとづく給付金で、家賃額(上限あり)が原則3か月、最長9か月支給され、原則として自治体から大家さんなどの口座へ直接振り込まれます。

入口の要件は、離職や廃業から2年以内であること、離職した時点で世帯の生計を主に支えていたこと、世帯の収入と預貯金が基準以下であること(預貯金の上限は多くても100万円)、ハローワークなどに求職の申込みをして求職活動をすること、などです。基準額は住む地域で違うので、窓口はお住まいの地域の自立相談支援機関になります。詳しくは住居確保給付金の記事をご覧ください。

基本手当を受け取りながら使えるか、受け取る基本手当が収入としてどう数えられるかは、この記事の執筆時点では確かめきれませんでした。申請のときに窓口で聞いてください。

当座の生活費を借りる方法としては、社会福祉協議会の生活福祉資金もあります。貸付なので、返すことが前提です。

ハローワークと福祉の窓口は、同時に回っていい

離職票が届いたら早めにハローワークへ。手元のお金が尽きる前に、福祉事務所か自立相談支援機関へ。この二つは順番に回る必要はなく、並行して進めてかまいません。

私たちは横浜市西区のNPO法人で、住まいと仕事の相談をお受けしています。就労相談から、働き始めてからの定着支援まで。家賃の期日と振込の見込み日を並べて、どこに穴があるかを一緒に確かめるところから始められます。

まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

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