「自分だけ生活が苦しいのに、同居している親は年金がある。それでも申請できるのか」「恋人と暮らしているけれど、自分の分だけ受けられないか」。こうした質問は、生活保護を検討している方から、よく出ます。
答えは、事情によって変わります。ただ、変わる理由になっている「世帯」という考え方を知っておくと、窓口で話す内容が整理しやすくなります。
生活保護の単位は「個人」ではなく「世帯」です
生活保護法第10条は、保護を「世帯を単位としてその要否及び程度を定める」と定めています。ただし書きで、それによりがたいときは個人を単位として定めることができる、とも書かれています。
つまり原則は、同じ世帯の人の収入と生活費をひとまとめにして、保護が必要かどうか、いくら必要かを判断する、ということです。同居している家族に安定した収入があれば、その分は世帯の収入として考慮されます。
どこまでを一つの世帯として扱うかは、福祉事務所が実際の暮らしぶりを見て判断します。同居している友人や恋人が含まれるのかどうか、といった個別のケースについて、この記事では可否を書きません。窓口で、同居している人の状況を隠さず伝えてください。
進学する子どもだけを対象から外す「世帯分離」
世帯を単位とする原則には、例外があります。その代表が、生活保護を受けている家庭の子どもが大学や専門学校などに進学するときの「世帯分離」です。
神奈川県の説明によると、世帯分離とは、生活保護を受けている世帯の学生が、大学等を卒業するまでの間、親と同居しながら保護の対象から外れることです。家族と離れて暮らす必要はありません。
国の答弁書は、この取扱いの趣旨を、進学が本人や世帯の自立を助けるうえで効果的であると認められる場合に限って、同居を続けながらも就労を求められずに大学等へ通えるようにするためのものと説明しています。
(出典:神奈川県「高校生のみなさんへ(進学したい場合のQ&A)」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r6w/cnt/f152/koukousei02.html 更新日2026年9月10日/参議院「答弁書」 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/198/touh/t198067.htm いずれも確認日2026年9月20日)
世帯分離したあと、何が変わるか
分離した本人は保護の対象から外れるため、生活費はアルバイトや奨学金などで自分でまかなうことになります。健康保険も自分で加入する形になり、医療扶助は使えません。ここは見落としやすい点です。
その一方で、進学に伴う給付金があります。神奈川県のページでは、自宅から転居して通学する場合は30万円、自宅から通学する場合は10万円が支給される可能性があるとされています。ただし申請が必要です。
世帯分離をするかどうか、進学準備給付金をどう受け取るかは、進学が決まる前に福祉事務所の担当者と話しておくと動きやすくなります。教育にかかるお金の全体像は、学用品費・給食費の記事もあわせてご覧ください。
世帯分離は「住民票を分ける」こととは別です
ここは混同されがちなので、書いておきます。生活保護でいう世帯は、住民票上の世帯と同じではありません。役所で住民票の世帯を分けたからといって、自動的に生活保護上の世帯も分かれるわけではないと考えておいたほうが安全です。世帯を分けたい事情があるときは、住民票の手続きより先に、福祉事務所へ相談してください。
申請するとき、同居人がいたら
同居している人に収入や資産があると、申請しても保護が認められない、あるいは受けられる額が減る可能性があります。一方で、同居人がいるから申請できない、と最初からあきらめる必要はありません。申請の権利はあります。
同居の家族がいる場合、その家族に連絡が行くのか不安な方もいるはずです。親族への問い合わせ(扶養照会)については扶養照会を止めるの記事に書いています。申請の基本の流れは申請方法の記事、申請後の担当者との付き合い方はケースワーカーとの付き合い方の記事をご覧ください。
ひとりで判断しないでください
世帯の判断は、同居の事情、収入、家計の分け方など、複数の要素で変わります。ネットの情報だけで「自分は無理だ」「自分は大丈夫だ」と決めてしまうのは避けたほうがいい分野です。私たちは横浜市西区で住まいと仕事の相談をお受けしています。まずは無料の相談前チェックから、同居している方の状況を含めて、今の状況をお書きください。


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