「自分だけなら我慢できるけれど、子どもに肩身の狭い思いをさせたくないので、申請はやめておきます」
ひとり親の方から、この言葉を何度も聞きました。気持ちはわかります。ただ、申請しなかった結果として、修学旅行の積立が払えず子どもが行けなくなった、というほうがよほどつらい。実際にそういう相談も受けています。
生活保護には、子どもの学校にかかるお金のための扶助があります。何がどこまで出るのかを、国が定めた基準額とあわせて書いておきます。
小中学校は教育扶助
義務教育の間は、教育扶助という枠で支給されます。生活保護法第13条が挙げているのは、教科書その他の学用品、通学用品、学校給食その他義務教育に伴って必要なものです。
毎月定額で出る基準額は次のとおりです。
| 区分 | 基準額(月額) | 学習支援費(年間上限) |
|---|---|---|
| 小学校等 | 3,400円 | 16,400円以内 |
| 中学校等 | 5,300円 | 59,800円以内 |
この基準額は、鉛筆やノートといった消耗品に充てるためのもので、使いみちを一つひとつ報告する必要はありません。
大事なのは、これで全部ではないということです。給食費や教材代は、この基準額とは別に実費が出ます。学級費や修学旅行費も対象になります。金額の大きいものはたいてい実費のほうで見るので、「月3,400円ではとても足りない」と早合点しないでください。
学習支援費は、クラブ活動にかかる費用に充てるものです。年間の上限の範囲で実費が出ます。ユニフォームや部費で子どもが部活を諦める、という事態を避けるための枠だと考えてください。中学校の上限が小学校より大きいのは、部活動の負担がそれだけ重いからです。
高校は「教育扶助」ではありません
ここを知らない方が多いので、はっきり書きます。高校の費用は教育扶助ではなく、生業扶助という別の枠から出ます。名称は高等学校等就学費です。
生業扶助は本来、仕事に必要な技能を身につけるための扶助です。高校を出ていないと就職の選択肢が大きく狭まる、という現実を踏まえて、高校の就学費がここに位置づけられています。制度の建て付けとしては、高校進学は自立のための投資という扱いです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本額(月額) | 7,300円 |
| 入学考査料 | 30,000円以内 |
| 通学交通費 | 通学に必要な最小限度の額 |
| 学習支援費(年間上限) | 101,000円以内 |
このほか、教材代や入学料などが必要に応じて実費で認められます。授業料そのものは、国の就学支援金の制度があるため、そちらが先に充てられます。
入学考査料が項目として立っているのは、受験のたびに数万円が出ていくからです。私立を併願すると、受験するだけで家計が傾く。ここに枠があることは、進路を考えるうえで知っておく価値があります。
(出典:生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号、最終改正 令和8年3月31日厚生労働省告示第149号・令和8年4月1日適用)。確認日2026年8月31日。基準額は毎年度見直されることがあります)
高校生のアルバイト代はどうなるのか
よく聞かれます。世帯の収入として申告する必要はありますが、稼いだ分がそのまま保護費から差し引かれるわけではありません。就労収入には控除の仕組みがあり、未成年者にはさらに別の扱いがあります。
使いみちによっては収入として認定されない取り扱いもあります。ただしこれは自治体やケースワーカーの判断が入る部分なので、金額をここに書くことはしません。働き始める前に必ずケースワーカーへ相談してください。後から申告すると、返還を求められることがあります。
順番さえ守れば、高校生のアルバイトは問題になりません。黙って始めることだけが問題になります。
大学や専門学校へ進むとき
大学・専門学校に進む場合、その子は世帯から分けて扱われるのが原則です(世帯分離といいます)。世帯の人数が減るので保護費も下がります。一方で、進学のときに使える給付の制度が別に用意されています。
ここは世帯の状況で結論がかなり変わるところなので、高校2年生くらいの段階で一度ケースワーカーに相談しておくことをおすすめします。3年生の冬に慌てて聞くと、選べる手が減っています。
ひとり親なら、加算のほうも確認を
子どものいる世帯には、教育扶助とは別に加算がつくことがあります。母子加算や児童養育加算です。教育扶助のことだけ聞いて帰ってしまい、加算の話が抜けていた、という相談を受けたことがあります。母子加算・児童養育加算の記事もあわせて読んでみてください。
保護費全体の決まり方は支給額の記事に書いています。
子どもの進路のために使ってほしい制度です
私たちが横浜で相談を受けていて思うのは、教育のお金に関する情報が、必要な家庭にいちばん届いていないということです。制度としては用意されているのに、知られていないので使われない。
高校に行けるかどうかは、その子のこれからの働き方を左右します。就労支援や職業訓練の相談を受けていると、そのことを痛感します。
まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

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