民間の賃貸で詰まる理由は、だいたい決まっています。保証人が見つからない。初期費用が出ない。無職だと審査に通らない。この3つのどれかで止まった方から、ほぼ毎週ご相談をいただきます。
そういうとき、私たちが必ずお伝えしているのが公営住宅です。県営住宅と市営住宅のことです。知られていないのは、ここが「収入がない人でも申し込める」場所だということです。
無収入でも申し込めます
神奈川県は、県営住宅の問い合わせページに、はっきりとこう書いています。「現在、生活保護受給者(無収入)なのですが、申込はできますか」という質問に対して、「申込できます」と。ただし申込資格があるかどうかは、申込後の資格審査で判断すると付け加えられています。
公営住宅は、住宅に困っている低所得の方のために建てられたものです。収入が低いことは不利な条件ではなく、むしろ前提です。民間の賃貸と逆だと思っていただいてかまいません。
その代わりに問われるのが「住宅に困っている理由」です。県営住宅では、他の世帯と炊事場・便所・浴室のいずれかを共同で使っている、居住部分が一人あたり4畳以下、住宅用でない建物に住んでいる、一畳あたり3,000円以上の家賃を払っている、住宅がないために親族と同居できない、正当な理由で家主から立退きを求められている、通勤に片道2時間以上かかる――このいずれかに当てはまることが条件です。家賃が高くて生活が成り立たない、という状態も理由として認められています。
逆に、持ち家のある方は申し込めません。同居する予定の方に持ち家がある場合も同じです。
募集は年に何回もあります
「募集を見たことがない」とおっしゃる方が多いのですが、実は年に何度もあります。
| 定期募集 | 常時募集 | |
|---|---|---|
| 神奈川県営住宅 | 5月・11月 | 通年(原則先着順) |
| 横浜市営住宅 | 4月・10月 | 2月〜6月・8月〜12月(原則先着順) |
定期募集は抽選です。常時募集は、定期募集で埋まらなかった部屋を先着順で受け付けるもので、こちらのほうが競争は穏やかです。
いまの県営住宅は、2026年10月1日から2027年3月31日(消印有効)まで常時募集を受け付けています。この回では、10月1日から10月15日までに届いた分だけは抽選になり、それ以降は先着順に戻ります。もう一つ覚えておいていただきたいのが、60歳未満の方も申し込める単身者向けの枠が50戸出ていることです。ただしエレベーターのない5階の部屋に限っての募集です。階段の上り下りが苦にならない方には、ここが現実的な入口になります。
お金のこと
家賃は、入居する世帯の収入と住宅の条件から毎年決められます。収入が低ければ家賃も低くなる仕組みです。概算額は募集のしおりに載っています。
敷金は家賃の2か月分で、入居手続きまでに納めます。ここで知っておいていただきたいのが、収入が著しく低額な方には敷金の減免制度があることです。入居手続きのときに申請書を出す必要があるので、黙っていては適用されません。礼金はありません。
収入基準は、1年間の総所得から控除を引いた額を12で割った「月収額」で見ます。横浜市営住宅の場合、一般世帯は158,000円以下、高齢者や障害のある方などの裁量階層は214,000円以下です。
ただし、最短で3か月かかります
ここが一番お伝えしたいところです。神奈川県は問い合わせページで、「今住んでいる住宅の立ち退き期限が迫っており、来月すぐに入居したい」という質問に対して、手続きの都合上、申込から入居まで最低でも3か月程度かかるため、すぐには入居できないと答えています。
つまり公営住宅は、来週出なければならない人の答えにはなりません。今日の寝る場所に困っているなら、先に福祉の窓口へ行ってください。家賃が払えずに追い出されそうな段階なら住居確保給付金が間に合うことがあります。すでに滞納が始まっているなら家賃を滞納したとき、いつ追い出されるのかに手順を書きました。
公営住宅は、足元の危機をしのいだあとに効いてくる手です。だから、民間の部屋でしのぐことになっても、並行して申し込んでおく価値があります。
申込の実務で引っかかるところ
県営住宅の申込は郵送だけです。持参しても受け付けてもらえません。消印のないメール便も不可です。申込書は募集のしおりに付いていて、しおりは配布場所で受け取ります。結果の通知に使うため、110円切手を1枚同封します。
そして申込は1世帯につき1通だけです。2通以上出すと、家族構成を変えてあってもすべて無効になります。県営住宅と横浜市営住宅のように別の制度へ1通ずつ出すのはかまいませんが、同じ募集に複数出すのはやめてください。常時募集と定期募集を1通ずつ、というのも県は認めています。
問い合わせ先は、県営住宅が一般社団法人かながわ土地建物保全協会(045-201-3673/平日8時30分〜17時30分)、横浜市営住宅が横浜市住宅供給公社 市営住宅課(045-451-7777/平日8時45分〜17時15分)です。なお横浜市は、お金を払えば優先的に入居できるかのような電話があるが市とは一切関係がないと注意を出しています。そういう話は全部断ってください。
横浜市で住まいのことにお困りなら、私たちにも声をかけてください。住居支援のページに私たちができることを書いています。保証人がいない民間の部屋探しについては保証人なし・無職でも部屋を借りるにはをどうぞ。まずは無料の相談前チェックからでもかまいません。当会は宅地建物取引業者ではないため、お部屋の仲介はしていません。公営住宅の申込の代行もできませんが、申込書を一緒に読むことはできます。
出典
・共通の資格、住宅困窮理由の7項目、持ち家のある方は申込不可、一般単身者向住宅の特定資格:神奈川県「県営住宅申込資格について」(2026年4月1日更新)https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h5z/cnt/f6022/p28475.html(確認日2026年10月5日)
・2026年10月1日から2027年3月31日までの受付、10月15日までの追加住宅分は抽選、一般単身者向住宅(特定の資格なし)50戸・エレベーターのない5階に限る、郵送のみ・1世帯1通・110円切手、申込から入居まで最短3か月:神奈川県「県営住宅 常時募集のお知らせ」(2026年10月1日更新)https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h5z/cnt/f6022/p28456.html(確認日2026年10月5日)
・生活保護受給者(無収入)でも申込できること、定期募集は5月・11月、敷金は家賃2か月分で減免制度あり・礼金なし、立退き期限が迫っていても最低3か月かかること、常時募集と定期募集を1通ずつは可:神奈川県「県営住宅入居者募集に関するよくある問い合わせ」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h5z/cnt/f6022/qanda.html(確認日2026年10月5日)
・横浜市営住宅の定期募集は4月・10月、常時募集は2月〜6月と8月〜12月、市内在住(又は在勤)6か月以上、収入基準(一般世帯158,000円以下/裁量階層214,000円以下)、公社の連絡先、優先入居をうたう電話への注意:横浜市「市営住宅の入居者募集」(2026年4月24日更新)https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/joho/kanri.html(確認日2026年10月5日)


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