生活保護を受けながら賃貸で暮らしていると、2年ごとに管理会社から封筒が届きます。中を開けると、更新料、更新手数料、火災保険の更新、保証会社の保証料。合わせると家賃の1か月分を超えることもあります。毎月の保護費からこれを貯めておくのは、正直なところ難しい話です。
この費用は、住宅扶助から認められることがあります。厚生労働省の通知にそう書かれています。ただし、何でも出るわけではなく、条件と上限があります。通知の該当箇所を読んだ結果を、ここに書きます。
根拠になっている通知の一文
生活保護の運用は、法律の下にある厚生労働省の通知で細かく決まっています。住宅費は、社会局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」の第7の4にあります。そこには、借家や借間の契約更新に際して契約更新料等が必要な場合は、特別基準額の範囲内で必要な額を認定して差しつかえない、という趣旨の一文があります。
では「等」には何が入るのか。これは保護課長通知「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」に問答の形で載っています。問88は、契約更新料等として更新手数料、火災保険料、保証料を認定してよいか、と問い、必要やむを得ない場合には契約更新に必要なものとして認定して差し支えない、と答えています。
どちらの通知も昭和38年に出されたもので、その後の改正を重ねながら、いまも福祉事務所の判断の拠りどころになっています。窓口で話すときは、局長通知の第7の4の(1)のク、課長通知の第7の問88、と番号を添えて聞くと、担当の方も同じ箇所を開いて確かめられます。言い争う必要はありません。同じ紙を見ながら話せば十分です。
つまり、更新料そのものに加えて、管理会社に払う更新手数料、火災保険料、保証会社の保証料も、更新に必要な費用として扱われる道があります。火災保険は「住宅総合保険」などの名前で契約書に入っていることが多いので、封筒の明細を見て、何の費用なのかを先に確かめておくと話が早く進みます。
出るもの・確認が要るもの
| 費用 | 契約を更新するとき | 転居するとき |
|---|---|---|
| 更新料 | 認定されることがある(局長通知 第7の4(1)ク) | ― |
| 更新手数料 | 必要やむを得ない場合は認定できる(課長通知 問88) | ― |
| 火災保険料 | 同上(問88) | 敷金等として認定できる(問35) |
| 保証会社の保証料 | 同上(問88) | 敷金等として認定できる(問35) |
| 敷金・礼金・権利金・不動産手数料 | ― | 転居が認められた場合に認定できる(局長通知 第7の4(1)カ、問35) |
| 鍵の交換費用 | 通知に名前が出てこない。福祉事務所に確認を | |
鍵の交換は、引っ越しのときに請求書へ入っていることがよくあります。ところが、私たちが読んだ二つの通知には「鍵」という言葉が一度も出てきません。出ないと決まっているわけでも、出ると決まっているわけでもない、というのが正直なところです。見積書を持って担当のケースワーカーに聞いてください。
転居のときの費用は、引っ越しそのものが必要と認められることが入口になります。どんな場合に認められるかは引っ越し費用の記事に書きました。
上限は「特別基準額」
更新料等が認められる範囲は、毎月の家賃の上限とは別の物差しで決まります。通知では、単身世帯の家賃の上限額に、世帯の人数に応じた率(1人なら1.3、2人なら1.4、7人以上なら1.8)を掛けた額を「特別基準額」と呼び、更新料等はこの範囲内とされています。毎月の家賃の上限そのものは住宅扶助の上限額の記事で地域別にまとめています。
更新料と手数料と火災保険と保証料を合わせた額が、この範囲に収まるかどうか。収まらない部分は自分で払うことになります。お住まいの自治体の具体的な金額は、福祉事務所で確かめてください。判断するのは福祉事務所で、自治体によって運用が違います。
封筒が届いたら、払う前に見せる
通知の言葉は「必要やむを得ない場合」「認定して差しつかえない」です。自動的に振り込まれるものではなく、福祉事務所が必要を認めて初めて出ます。そのため、更新の案内が届いた時点で、書類一式をケースワーカーに見せることをすすめます。更新の期日まで1か月を切ってから動くと、手続きが間に合わないことがあります。
先に自分で払ってしまい、あとから相談した方の話も聞きます。扱いは福祉事務所によって違いますが、払う前に相談したほうが話はずっと通りやすくなります。
家賃を福祉事務所から大家さんへ直接払う代理納付を使っている方は、更新料も同じように払えるのか、あわせて聞いておくと安心です。代理納付の仕組みはこちらの記事にあります。
また、住宅扶助から出た火災保険は、借りている部屋で事故が起きたときの備えです。退去のときに敷金から何が引かれるかは別の話で、国土交通省のガイドラインの記事に書いています。
更新の前に相談したいとき
更新を機に、家賃が上限を超えていることに気づく方もいます。そのまま住み続けられるのか、引っ越しを考えたほうがいいのか。ひとりで抱えていると、期日だけが近づいてきます。
私たちは、住まいと生活保護の相談を受けています。まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書いて送ってください。折り返しご連絡します。
出典
・契約更新料等の認定、特別基準額と世帯人員別の率、転居時の敷金等:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号)第7の4の(1)のオ・カ・クhttps://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta8432&dataType=1&pageNo=2
・更新手数料・火災保険料・保証料(問88)、権利金・礼金・不動産手数料・火災保険料・保証料(問35):厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和38年4月1日社保第34号)第7https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta8433&dataType=1&pageNo=1
(いずれも確認日2026年10月19日)


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