転職者を採用する予定の会社が63.6%に増えました|ただし入口は求人サイトへ移っています

就職の面接で握手する様子 仕事・自立

何があったのか

厚生労働省は2026年(令和8年)9月25日、「令和7年転職者実態調査」の結果を公表しました。5年ごとに行われる調査で、前回は令和2年(2020年)でした。

調査の対象は、従業員5人以上の事業所17,354か所と、そこで働く転職者13,975人です。2025年10月1日時点の状況をたずねたもので、有効回答率は事業所調査で52.7%、個人調査で52.3%でした。

結果のうち、仕事を探している方に関わりが深いところを並べます。

  • 今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所:63.6%(前回53.3%)
  • そのうち「転職者を優先して採用したい」:40.0%(前回35.7%)。「新規学卒者を優先したい」は9.8%(前回12.3%)
  • 転職者に教育訓練を実施した事業所:82.6%
  • 転職した人が使った手段:求人サイト・求人情報誌など45.1%(前回39.4%)、ハローワークなどの公的機関29.6%(前回34.3%)、縁故22.2%(前回26.8%)、民間の職業紹介機関20.9%(前回14.8%)
  • 直前の勤め先が「正社員以外」だった人のうち、現在は正社員になっている人:47.9%

わかりやすい解説

採用する側が、前回より動いている

「今後3年間に転職者を採用する予定がある」と答えた事業所は63.6%で、5年前の53.3%から10.3ポイント増えました。そのうち4割は、新卒より転職者を先に採りたいと答えています。新卒を優先したいと答えた9.8%より、4倍多い割合です。

業種別に見ると、採用する予定がある事業所の割合は情報通信業72.6%、建設業70.9%、運輸業・郵便業69.4%、医療・福祉68.4%、製造業68.3%の順でした。このうち「新卒より転職者を優先したい」が高いのは、運輸業・郵便業55.6%、建設業46.9%、製造業45.0%です。

入ってから教える会社が8割を超えている

転職者に教育訓練を行った事業所は82.6%でした。中身は、仕事をしながら計画的に教える方式(計画的OJT)が79.8%、仕事を離れて行う研修(OFF-JT)が64.5%です。

「経験がないから応募できない」と考えて手が止まる方は多いのですが、採った後に教えている会社が8割を超えているというのが、この調査が示している実態です。

非正規から正社員へ移った人が半分近くいた

直前の勤め先での働き方が「正社員以外」だった人のうち、転職後に正社員になっている人は47.9%でした。44.6%は正社員以外のままです。

ただし年齢によってかなり違います。転職後に正社員になった割合は25〜29歳で87.2%、55〜59歳で61.4%、60〜64歳で35.8%、65歳以上では16.5%でした。

辞めた理由の1位は「賃金が低かったから」

転職した人が前の職場を辞めた主な理由は「自己都合」が81.3%でした。倒産・解雇・人員整理によるものは3.3%(前回5.8%)、契約期間の満了は4.7%です。

自己都合の中身(3つまでの複数回答)は、「賃金が低かったから」25.5%、「会社の将来に不安を感じたから」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかったから」24.7%が上位でした。男性は「賃金が低かったから」29.6%、女性は「満足のいく仕事内容でなかったから」23.5%がそれぞれ1位です。

メリット

応募できる先が広がっています。 採用する予定がある事業所が6割を超え、しかもその4割は新卒より転職者を先に採りたいと答えています。前回調査より、転職して入る側に開いている状況です。

未経験でも入口はあります。 教育訓練を行った事業所が82.6%。採用時点で完成している人を求めているわけではない会社が、数の上では多数派です。

いまの働き方が非正規でも、正社員の道は閉じていません。 直前が正社員以外だった人の47.9%が正社員になっています。

転職した人の満足度は、正社員以外のほうが高く出ています。 職業生活全体の満足度(満足と答えた人の割合から不満と答えた人の割合を引いた値)は全体で44.0ポイント、正社員43.3ポイントに対して正社員以外は50.5ポイントでした。正社員になることだけが答えではない、と読める数字です。

デメリット・注意点

この調査に「転職できなかった人」は入っていません。 調査の対象は、5人以上の事業所に1年以内に雇われた人です。いま離職中の方、短い仕事を繰り返している方、働いていない期間が長い方は、はじめから含まれていません。数字をそのまま自分に当てはめないでください。

賃金が上がったかどうかは、この発表では分かりません。 辞めた理由の1位は「賃金が低かったから」ですが、転職の前後で賃金がどう動いたかは、公表された概況には載っていません。「転職すれば賃金が上がる」とは、この調査からは言えません。

仕事を探す入口が、ネットの側に移っています。 求人サイト・求人情報誌などを使った人は45.1%で、前回の39.4%から増えました。一方で、ハローワークなどの公的機関を使った人は34.3%から29.6%へ減っています。縁故(知人・友人の紹介)も26.8%から22.2%へ減りました。

民間の職業紹介は、誰にでも同じように開いてはいません。 民間の職業紹介機関を使った人の割合は全体で20.9%ですが、最終学歴別に見ると大学32.7%、高専・短大22.7%、専修学校15.9%、高等学校10.9%、中学校3.3%でした。学歴によって10倍近い差があります。

逆に、ハローワークなどの公的機関を使った人の割合は、中学校卒31.8%、高等学校卒34.5%と、全体の29.6%より高くなっています。公的機関は、民間の紹介が届きにくい人にとっての主要な入口のままです。

課題

当会に住まいと仕事のご相談に来られる方で、最初から求人サイトを使えている方は多くありません。携帯が止まっている、通信量が尽きている、パソコンがない、履歴書を印刷する場所がない。そういう手前のところで止まっています。

この調査では、求人サイトを使った人が45.1%と最多でした。中学校卒の方でも50.1%です。つまり学歴を問わず、求人情報はネットに集まっています。その流れの中で公的機関の利用が5年間で4.7ポイント減ったことは、ネットにたどり着けない人の取り分が、静かに細っていることの裏返しでもあります。

もう一つ、辞め方の話があります。辞めた理由は自己都合が81.3%で、前回の76.6%より増えました。自分の意思で辞めると、雇用保険の基本手当(失業手当)が出るまでの待機や給付制限の扱いが、会社都合の場合と変わります。その間も家賃、国民健康保険料、国民年金保険料の支払いは来ます。次が決まる前に辞めるときは、空白の期間に何がいくら出ていくかを先に数えておくことが、生活を崩さないための分かれ目になります。

そして、採用する側が転職者を優先したいと答えた業種は、運輸業・郵便業、建設業、製造業が上位です。入口が広いのは確かですが、体力や資格を求められる仕事が多い分野でもあります。体を壊してからでは選べる道が狭くなるので、いまの体調と相談しながら決めてください。

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仕事を探すときに、先に確かめること

  1. ハローワークの求人は、ネットからも窓口からも同じものが見られます。 パソコンやスマホがなくても、窓口の端末で検索し、その場で紹介状を出してもらえます。
  2. 辞める前に、離職理由がどう扱われるかを確かめます。 雇用保険受給資格者証の離職理由の番号で、失業手当の出方と、国民健康保険料の軽減の対象になるかが変わります。
  3. 家賃が払えなくなりそうなときは、住居確保給付金の相談ができます。 離職・廃業や収入の減少が理由なら、家賃相当額を一定期間支給する制度です。お住まいの自立相談支援機関が窓口です。
  4. 受講料が無料になる職業訓練があります。 ハローワークの公共職業訓練や求職者支援訓練は、受講料が無料(テキスト代などは自己負担)です。

住まいや仕事のことでお困りのとき

NPO法人暮らし就労支援協会では、お住まいのご相談と就労のご相談をお受けしています。仕事を辞めて収入が途切れた、次の仕事を探したいが何から始めればいいか分からない、家賃の支払いが先に来てしまう、というご相談も受けています。相談は無料です。

当会は職業紹介を行う事業者ではありません。求人のご紹介はできませんが、何をどの順番で進めるかを一緒に整理し、ハローワークや自立相談支援機関につなぎ、働き始めた後に続けられるところまでをお手伝いします。

出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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