生活保護から抜けて働き始めるときの「就労自立給付金」|いくら出るか、いつ申請するか

就職の面接で握手する様子 仕事・自立

仕事が決まって、生活保護から抜ける。うれしい知らせですが、抜けたあとの最初の数か月に不安を感じる方は少なくありません。保護を受けている間はかからなかった税金や保険料が、給料から引かれ始めます。最初の給料が出るまでの間も、生活は続きます。

そのつなぎとして、生活保護法には、保護から抜けるときに一度だけ受け取れるお金があります。就労自立給付金といいます。名前を知らないまま就職の準備を進めている方もいます。この記事では、誰が受け取れるのか、いくらになるのか、いつ申請するのかを書きます。

どんなときに受け取れるか

就労自立給付金は、生活保護法第55条の4にもとづくお金です。対象は、働くことで保護が要らなくなったと福祉事務所が認めた人で、法律と施行規則は、その場面を4つ挙げています。

いちばん多いのは、安定した仕事に就いたときです。ここでいう安定した仕事とは、おおむね6か月以上雇われる見込みがあり、最低限度の生活を続けられる収入が得られる仕事をいいます。ほかに、自分で事業を始めて同じくらいの収入が見込めるとき、すでに働いている世帯で収入が増えたとき、年金などの収入はあるが働いていなかった世帯で誰かが仕事に就いたとき、も対象です。

厚生労働省の通知は、どの場面でも就業の形態は問わないとしています。正社員でなければ対象外、ということはありません。パートや契約社員でも、その収入で保護が要らなくなったと認められれば対象になり得ます。

一方で、受け取れないこともあります。前に就労自立給付金を受け取った日から3年たっていない人には、原則として支給されません。勤め先の倒産など、やむを得ない事情があると福祉事務所が認めた場合は別です。

金額の決まり方は、令和6年10月から変わりました

計算のしかたは、厚生労働大臣が定めています。令和6年10月1日から、次のような形になりました。

まず、保護が要らなくなったと認められた月から数えて前の6か月間を見ます。その間の各月の就労収入額(働いた収入として認定された額から、必要経費を除いた額)の合計に、10%を掛けます。そこに「基礎額」を足します。

基礎額は、単身の世帯なら4万円、2人以上の世帯なら5万円が出発点です。そこから、6か月の間で最初に働いた収入があった月の翌月から、保護が廃止になる月までの月数に7,500円を掛けた額を引きます。つまり、働き始めてから早く保護を抜けた人ほど、基礎額が大きく残ります。厚生労働省は、早い時期に保護が廃止になった場合の給付を引き上げ、働いた期間に応じてめりはりを付けるための見直しだと説明しています。

単身の世帯 2人以上の世帯
基礎額の出発点 4万円 5万円
上限 10万円 15万円
下限 2万円 3万円

仮の数字で計算してみます。単身の方で、6か月間の就労収入額の合計が36万円、最初に収入があった月の翌月から廃止の月までが2か月だったとします。36万円の10%で3万6千円。基礎額は4万円から1万5千円(7,500円×2か月)を引いて2万5千円。合わせて6万1千円です。上限の10万円を超えていないので、この額になります。

実際の額は、福祉事務所が認定した収入の記録をもとに計算します。自分の場合いくらになりそうかは、廃止の話が出た時点でケースワーカーに聞いてください。なお、保護が要らなくなった月が令和6年9月以前の人は、改正前の計算のしかたが使われます。

申請は、廃止の「直前」に

給付金は、待っていれば自動で振り込まれるものではありません。申請書を出して申し込みます。申請書には、氏名、住所、マイナンバー、保護が要らなくなった理由などを書きます。事情があって書けない場合は、口頭で伝えて受け付けてもらう扱いも通知に定められています。

時期は、通知で「保護の廃止の直前」とされています。支給は、廃止が決まったときか、廃止のあと速やかに行われます。決定の通知は申請から14日以内が目安で、収入の調査に時間がかかる場合でも30日以内とされています。

通知には、福祉事務所は申請について助言するなど、申請が確実に行われるよう支援すること、とも書かれています。それでも、言い出すきっかけを逃すことはあります。就職が決まった、収入が増えそうだ、という話をケースワーカーにするときに、「就労自立給付金の申請はどうすればいいですか」と一緒に聞いておくのが確実です。受け取る権利は、受け取れるようになった時から2年で時効によって消えると法律に書かれています。廃止のあとで制度を知った方も、早めに元の福祉事務所に問い合わせてください。

受け取ったお金と、抜けたあとの暮らし

このお金は、保護から抜けたあとの生活に充てるためのものです。通知は、保護を抜けると税金や社会保険料の負担が生じることを踏まえ、抜けた直後の不安定な暮らしを支えて、また保護に戻るのを防ぐ目的だと説明しています。給付金そのものは、保護を廃止するかどうかを判断するときの収入には数えません。受け取る権利を人に譲ることもできません。

抜けたあとにどんな支払いが始まるか、家賃をどう考えるかは就職が決まったら生活保護はどうなるかに書きました。保護を受けながら働くときの収入の扱いは働きながらの生活保護、自立までの道のりは生活保護から抜け出すには、就職のための服や最初の給料までの通勤費は生業扶助の記事にあります。

対象になるかどうか、いくら出るかを決めるのは福祉事務所で、運用は自治体によって違います。保護を抜けたあとの家計が不安な方、これから仕事を探す方は、無料の相談前チェックからいまの状況を送ってください。住まいのことが心配なら住まいの相談のページもあります。メールは info@npokurashi.com で受け付けています。

出典

・就労自立給付金の根拠、譲渡の禁止、2年の時効:生活保護法 第55条の4・第59条・第76条の3 e-Gov法令検索https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144
・安定した職業の定義、支給の事由、申請書の記載事項、世帯単位での支給、3年以内に受けた人への不支給:生活保護法施行規則 第18条の2〜第18条の6 e-Gov法令検索https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50000100021
・給付金の目的と性格、就業の形態を問わないこと、申請は廃止の直前・支給は廃止決定時か廃止後速やかに、口頭での申請、標準処理期間、福祉事務所による申請の支援:厚生労働省「生活保護法による就労自立給付金の支給について」(平成26年4月25日社援発0425第3号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0131&dataType=1&pageNo=1
・令和6年10月1日からの算定方法(就労収入額の10%と基礎額、上限・下限、改正の趣旨、経過措置):厚生労働省「生活保護法施行規則第十八条の五の規定に基づき厚生労働大臣が定める算定方法の一部を改正する件について(通知)」(令和6年6月18日社援発0618第1号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8589&dataType=1&pageNo=1
・自治体の案内の例:さいたま市「就労自立給付金について」(更新日2024年12月17日)https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/002/p041075.html
(いずれも確認日2026年10月27日)

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