パートの求人は、探す人より少ない|9月の有効求人倍率は1.19倍、パートだけでは0.92倍。事務と介護で12倍の差

木のテーブルに置かれた、画面の消えたスマートフォン 仕事・自立

10月30日、9月の求人倍率が公表されました

厚生労働省は2026年10月30日、全国のハローワークに出ている求人と、仕事を探している人の数をまとめた「一般職業紹介状況」の9月分を公表しました。毎月末に出ている統計です。

  • 有効求人倍率(季節調整値):1.19倍(前の月より0.01ポイント上昇)
  • 新規求人倍率(季節調整値):2.19倍(前の月より0.13ポイント上昇)
  • 正社員の有効求人倍率(季節調整値):1.01倍(前の月より0.01ポイント上昇)

数字だけを見ると、前の月より少し良くなっています。ただ、資料の中身を見ていくと、パートタイムの仕事を探している人にとっては、去年より厳しくなっていることが分かります。

わかりやすく言うと

有効求人倍率は、「仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるか」を表す数字です。1.19倍なら、探している人100人に対して求人が119人分ある、という意味になります。

この数字は、正社員・パート・季節の仕事などをすべて合わせたものです。資料には、働き方ごとに分けた表も載っています。その中から、パートタイム(常用的なパート)の数字を抜き出すと、9月は次のとおりでした(季節調整をしていない原数値、新しく学校を卒業した人を除く)。

  • パートの求人:70万4,375人分(去年の9月より3.9%減)
  • パートの仕事を探している人:76万3,706人(去年の9月より1.6%増)
  • パートの有効求人倍率:0.92倍(去年の9月は0.97倍)

つまり、パートの仕事を探している人のほうが、パートの求人より多い状態です。求人が減り、探す人が増えたことで、去年より差が開きました。パートを除いたフルタイムの仕事は1.18倍で、去年と同じでした。

業種で見ると、9月に新しく出た求人は、製造業(8.2%増)、情報通信業(5.9%増)で増えた一方、理美容や娯楽などの生活関連サービス業・娯楽業(6.7%減)、卸売業・小売業(6.3%減)、宿泊業・飲食サービス業(6.3%減)で減りました。いずれも、パートで働く人が多い業種です。

メリット:職種を選べば、求人はまだ多い

パート全体では0.92倍でも、職種によって数字は大きく違います。厚生労働省の参考統計表には、職業別の求人数と求職者数が載っています。「パートを含む常用」から「パートを除く常用」を差し引いて、パートの部分だけを当会で計算すると、9月は次のようになりました。

  • 介護サービスの仕事:4.48倍
  • 調理の仕事(飲食物調理従事者):2.57倍
  • 清掃の仕事:1.22倍
  • 運搬の仕事:1.16倍
  • 事務の仕事:0.36倍

介護のパートは、探している人1人に対して求人が4つ以上あります。一方で、事務のパートは3人に1つほどしかありません。その差はおよそ12倍です。

「事務の仕事を探しているが、なかなか決まらない」という方は、本人の力が足りないからではなく、そもそも椅子の数が少ないところに人が集まっている、ということです。希望を少し広げるだけで、応募できる求人が一気に増えることがあります。介護の仕事は資格がなくても始められる求人があり、働きながら資格を取る道もあります。

デメリット・注意点:「人手不足」の業種が、続けやすいとは限らない

求人が多い職種には、求人が多い理由があります。介護や調理、清掃は、体を使う仕事で、早朝や夜、土日の勤務が入ることも少なくありません。人が定着しにくいから、いつも募集が出ている、という職場もあります。

体の調子や家庭の事情で、働ける時間や仕事の内容に制限がある方にとっては、倍率が高いことがそのまま「働きやすい」ことにはなりません。数字は応募先を考えるときの目安の一つとして使い、勤務時間や仕事の中身は、応募の前にハローワークの窓口や面接で確かめることが大切です。

また、9月の就職件数は8万916件で、去年の9月より9.6%減っています。求人の数に対して、実際に仕事が決まった割合(充足率)も10.4%と、去年より1.1ポイント下がりました。求人はあっても、条件が合わずに決まらないケースが増えていると考えられます。

課題:神奈川で、近くのパートを探す人ほど厳しい

都道府県別に見ると、ハローワークで受け付けた求人をもとにした数字(受理地別)では、神奈川県が0.83倍で全国でいちばん低く、東京都は1.71倍でいちばん高くなりました。実際に働く場所で数え直した数字(就業地別)では、神奈川県は1.02倍です。

この差は、神奈川に住んで東京へ通勤する人が多いために生まれます。神奈川のハローワークに登録した人が東京の会社に応募しても、その求人は東京都の数字に入るからです。言いかえると、東京まで通えるかどうかで、選べる仕事の数が変わるということです。

パートで働きたい方の多くは、家の近くで、短い時間で働ける仕事を探しています。子育てや介護、体調の理由で、遠くまで通えない方もいます。そうした方ほど、神奈川県内の少ない求人の中で探すことになります。全国の倍率が「1倍を超えている」と聞いても、身近な実感とずれるのはこのためです。

もう一つの課題は、求人を探す手段です。いまはハローワークの求人もインターネットで見られるようになり、応募もオンラインでできるものが増えました。その分、スマートフォンの通信が止まっていたり、パソコンが手元になかったりすると、探す入口のところで止まってしまいます。

あわせて読みたい

スマホだけで求職が止まる|パソコンがないときにまず使う場所
パソコンが手元になくても、求人を探したり応募書類を作ったりできる場所をまとめています。

困っている方へ

パートの仕事がなかなか決まらない、働ける時間が限られていて応募できる求人が見つからない、仕事が決まるまでの家賃や生活費が心配。そうしたときは、ひとりで抱えこまずに相談してください。

NPO法人暮らし就労支援協会では、就労のご相談と住まいのご相談をお受けしています。生活保護を考えている方、家賃が払えなくなりそうな方のご相談にも応じています。相談は無料です。

求人の探し方や応募のことは、お住まいの地域のハローワークで相談できます。生活のことは、お住まいの市区町村の自立相談支援窓口(生活困窮の相談窓口)でも相談できます。

出典

※職種別のパートの倍率は、参考統計表の「常用(パート含む)」から「パートを除く常用」を差し引いて、当会で計算したものです。

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

コメント

タイトルとURLをコピーしました