賃貸の申込書の「緊急時の連絡先」欄が埋まらない|何を書く欄なのか、書けないときどう伝えるか

生活保護申請の書類が置かれた机 住まい

申込書はほとんど書けたのに、「緊急時の連絡先」の1行だけが空いている。そのせいで、気に入った部屋の申し込みを出せずにいる。そういう方の相談を受けることがあります。

この記事は、その1行の話に絞ります。何を書く欄なのか、誰の名前なら書けるのか、書けないときに不動産会社へどう伝えるか。申込書の様式は不動産会社や管理会社ごとに違うので、ここでは国土交通省が示している賃貸住宅標準契約書を手がかりにします。標準契約書は契約書のひな形で、使うことが法令で義務づけられているものではありません。それでも、この欄に何が求められているかを知るには一番確かな資料です。

空欄のまま出す前に

空いたまま出せば、そのまま審査が進むとは限りません。連絡先を書くよう戻されたり、保証会社の審査がそこで止まったりすることがあります。何日も待ったあとで差し戻されると、その間に部屋が埋まってしまうこともあります。

出す前に、ひとこと相談しておいたほうが早く済みます。書けないこと自体は珍しくありません。黙って空けておくより、事情が伝わっているほうが不動産会社も動きやすくなります。伝え方は最後に書きます。

この欄に書くのは4つ

標準契約書では、最初のページの「借主及び同居人」の項目の下に、緊急時の連絡先の欄があります。書くのは次の4つです。

項目 書くこと
住所 連絡先になる人(または勤務先など)の住所
氏名 連絡先になる人の名前
電話番号 実際につながる番号
借主との関係 続柄や、勤務先・知人などの間柄

実際の申込書では、勤務先の名前や携帯番号を別に聞かれるなど、項目が多少違うことがあります。迷ったら、空けたまま悩まずに、その欄で何を求めているのかを不動産会社に聞いてください。

親族でなければいけない、とは書かれていない

標準契約書の「作成にあたっての注意点」は、この欄に書くものを、勤務先や親戚の住所など、貸主や管理会社が緊急時に借主へ連絡を取れるところ、と説明しています。目的は連絡が取れることで、続柄の条件は書かれていません。

ただし、これはあくまでひな形の説明です。実際に誰の名前なら受け付けるかは、貸主・管理会社・保証会社がそれぞれ決めています。家族に限る会社もあれば、知人や法人でもよいとする会社もあります。高齢者住宅財団の家賃債務保証のように、友人・知人でもよいと公表しているところもありますが、どこでも同じとは考えないでください。団体の名前を書けるかどうかは、保証会社が何を見ているかで決まります。その話は団体が緊急連絡先を引き受けるとき、保証会社が本当に見ているものに書きました。

書く前に、その人に伝えておくこと

名前を書かせてもらえる人が見つかったら、書く前に話をしておいてください。注意点には、緊急時の連絡先には借主への連絡だけでなく、借主の急病・急変、安否確認、漏水などへの対応を頼むことも考えられる、と書かれています。だから契約のときに連絡して、連絡先になってもらうことや、そうした対応を頼む場合があることを伝えておくのが望ましい、という説明です。

保証会社を使う契約では、借主の安否確認にこの欄の連絡先を使うことも考えられる、と解説にあります。つまり、名前を書いた人のところへ、管理会社や保証会社から電話が行くことがあるということです。

これは相手を怖がらせるための話ではありません。何を頼むのかを正直に伝えたほうが、受けてもらいやすくなります。「家賃のことは頼まない。私と連絡がつかないときに、電話に出てもらえたら助かる」。頼む側も、頼まれる側も、中身が分かっていれば安心です。

頼んでいない人の名前は書かない

欄を埋めたい一心で、話をしていない知人や、昔の住所のままの親戚を書いてしまう方がいます。これはやめてください。この欄は、実際に連絡が行く欄です。確認の電話をかけた先で「知りません」と言われれば、その時点で分かります。審査や契約に響くこともあります。

続柄も同じで、知人を「兄」と書くようなことはしないでください。親族でなくても書ける場合があることと、関係を偽って書くことは、まったく別の話です。書けないなら書けないと伝えるほうが、結果的に前に進みます。

電話が止まっているなら、先に連絡手段を

緊急連絡先を探す前に、自分の電話がつながるかを確かめてください。管理会社からの連絡は、まず借主本人に来ます。本人の番号がつながらない状態だと、連絡先の欄を埋めても話が進みにくくなります。日中につながる番号が一つあるだけで動き出すことがあります。携帯が止まっている方は携帯が止まった・新規契約も断られたときにできることを、生活保護の申請中の方は生活保護の申請中こそ電話がいるを読んでみてください。

書けないときの伝え方

申込書を出す前に、不動産会社の担当の方へこう伝えてみてください。

「緊急時の連絡先に書ける家族がいません。勤務先や知人、支援の窓口の名前でもよいか、この部屋で使う保証会社の条件を確認してもらえますか。」

長い説明は要りません。何が書けないのか、何なら用意できそうかが伝われば、担当の方も保証会社に聞きやすくなります。条件が合わなければ、別の保証会社を使う部屋がないかも聞いてみてください。同時に、自治体の住宅相談や、都道府県が指定した居住支援法人などの支援の窓口にも当たっておくと、選べる道が増えます。

どう伝えればいいか分からない、もう何社も断られた、という方は、私たちにも相談してください。住まいの相談のページか、無料の相談前チェックから状況を送ってもらえれば、こちらから連絡します。メールは info@npokurashi.com です。申込書の書き方で審査が通ると約束することはできません。入居できるかを決めるのは貸主・管理会社・保証会社で、運用は会社によって違います。生活保護を受けている方や検討中の方は、契約の前に福祉事務所へ相談してください。保護の判断は福祉事務所が行い、自治体によって運用が違います。

出典

・標準契約書がひな形であり、使用が法令で義務づけられていないこと、最新の掲載版:国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html
・緊急時の連絡先の欄の項目(住所・氏名・電話番号・借主との関係)、記入の目安(勤務先、親戚の住所など)、急病・急変・安否確認・漏水等への対応と事前に伝えておくこと、家賃債務保証を使う場合の安否確認への活用:国土交通省「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・家賃債務保証業者型」頭書(5)、《作成にあたっての注意点》頭書(5)関係、《解説コメント》第17条関係https://www.mlit.go.jp/common/001479824.pdf
・友人・知人でも可とする家賃債務保証の例:一般財団法人高齢者住宅財団「家賃債務保証 よくあるご質問」Q16https://www.koujuuzai.or.jp/service/rent_guarantees/faq-rg/
(いずれも確認日2026年10月27日)

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