「すぐには働けない人」を受け入れる職場に大臣表彰|認定就労訓練事業所は全国2,395件、受け入れは732人

仕事・自立

10月30日、「すぐには働けない人」を受け入れる職場に大臣表彰

厚生労働省は2026年10月30日、「認定生活困窮者就労訓練事業所厚生労働大臣表彰」を受ける5つの事業所を発表しました。長く仕事から離れていた人や、体や心に不安があって、いきなり普通の職場で働くのは難しい人を受け入れてきた事業所です。

選ばれたのは次の5か所です。

  • 新潟県 地域活動支援センターUNEHAUS(特定非営利活動法人UNE)
  • 三重県 レインボークラブ(社会福祉法人名張育成会)
  • 兵庫県 企業組合伊丹市雇用福祉事業団
  • 相模原市 株式会社 お福
  • 松江市 企業組合 しまね就労福祉事業団 松江事業所

神奈川県内からは、相模原市の事業所が入っています。厚生労働省は表彰の目的を、この事業が利用する人だけでなく、受け入れる事業所にとっても役に立つ仕組みだと広く知ってもらうため、と説明しています。

「就労訓練事業」とは何か

生活困窮者自立支援法の第16条にもとづく仕組みです。法律では「雇用による就業を継続して行うことが困難な生活困窮者」に、働く機会と、働くために必要な訓練を提供する事業と定められています。「中間的就労」と呼ばれることもあります。

事業を行うのは、会社や社会福祉法人、NPO法人などの民間の事業所です。都道府県や政令市・中核市から「この内容なら訓練の場としてふさわしい」と認定を受けた事業所が、「認定就労訓練事業所」になります。

働き方は2つあります。

  • 非雇用型:雇用契約を結ばず、訓練として仕事を体験する
  • 雇用型:雇用契約を結んだうえで、支援を受けながら働く

短い時間から始めたり、作業を単純なものにしたりと、その人に合わせた配慮をしながら、最終的には普通の職場で働けるようになることをめざします。訓練の内容は、清掃・警備と、福祉サービスの補助的な作業が多くなっています。

メリット:いきなり「普通の職場」に行かなくてよい

何年も働いていなかった人にとって、求人に応募して面接を受け、初日からフルタイムで働くのは、それだけで高い壁です。就労訓練事業では、その手前に段階をつくることができます。

事業所には、利用する人ごとに支援の計画をつくり、相談に乗る担当者を置くことが求められています。雇用契約のない非雇用型でも、安全や衛生の扱いは労働基準法などに準じ、けがをしたときの補償の備えも必要とされています。「訓練だから何があっても自己責任」という形にはなっていません。

受け入れる側にとっては、人手を確保する入口にもなります。法律には、国や自治体が認定事業所への仕事の発注を増やすよう努める、という定めもあります。

デメリット・注意点:自分で事業所に申し込む仕組みではない

いちばん見落とされやすいのは、入口です。就労訓練事業は、市区町村の自立相談支援機関(生活困窮の相談窓口)のあっせんを通して利用する仕組みです。求人のように、自分で事業所を探して直接申し込むものではありません。まず相談窓口で話をし、そこで就労訓練が合うかどうかを一緒に考えることになります。横浜市では、各区役所の生活支援課が窓口です。

もう一つはお金です。非雇用型は雇用契約を結ばないため、最低賃金が決まった給料として支払われる仕組みではありません。訓練のあいだの暮らしをどう支えるかは、住居確保給付金や生活保護など、別の制度と組み合わせて考える必要があります。雇用型であれば、雇用契約を結ぶので最低賃金などの決まりが適用されます。

課題:認定は2,395件、受け入れた人は732人

厚生労働省のまとめ(令和7年3月31日時点)では、制度が始まった平成27年度からの認定件数は累計2,395件、利用定員は合わせて6,686人分あります。ところが、令和6年度に実際に受け入れた人は732人でした。定員のおよそ1割です。

受け入れの実績があった事業所は、全国で240ほどにとどまります。累計の認定件数には、すでに事業をやめたところも含まれていると考えられますが、それを差し引いても、認定された場所の多くが使われていないことになります。

神奈川県と静岡県の数字を見ると、差がはっきりします。

  • 横浜市:認定80件、受け入れた事業所15、利用20人
  • 相模原市:認定30件、受け入れた事業所5、利用76人
  • 川崎市:認定12件、利用0人
  • 神奈川県(政令市・中核市を除く地域):認定27件、利用3人
  • 浜松市:認定25件、利用0人
  • 静岡県(同):認定7件、利用3人

相模原市は認定が横浜市の半分以下なのに、利用した人は4倍近くいます。認定の数を増やすだけでは人は使わず、相談窓口から事業所へつなぐ流れができているかどうかで、結果が大きく変わることがうかがえます。今回、相模原市の事業所が表彰されたのは、その流れが形になっている例だと当会は受け止めています。

訓練の場を探しているあいだも、家賃や光熱費の支払いは毎月やってきます。働く準備には時間がかかるからこそ、出ていくお金の側を先に整えておくと、焦らずに進めやすくなります。

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困っている方へ

しばらく働いていなくて、いきなり就職するのは不安。体調に波があって、フルタイムは難しい。そうした方にも、段階を踏んで働き始める道があります。

NPO法人暮らし就労支援協会では、住まいのご相談と就労のご相談をお受けしています。生活保護を考えている方、家賃が払えなくなりそうな方のご相談にも応じています。相談は無料です。

就労訓練事業を使いたい方は、お住まいの市区町村の自立相談支援窓口へご相談ください。生活保護を受けている方は、担当のケースワーカーにも伝えておくと話が進めやすくなります。15〜49歳で働いていない方は、地域若者サポートステーション(サポステ)も無料で使えます。

出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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