葬儀のお金がない、と役所に言っていい|火葬の前に申請する葬祭扶助

支援を求めて差し伸べられる手のイメージ 地域別

相談の電話が、亡くなった翌日にかかってくることがあります。年金だけで暮らしていた親が亡くなり、葬儀社から見積もりを渡され、そこに書かれた金額を払えるあてがない。どうしたらいいかわからないまま、時間だけが過ぎていく。

この状況で使える制度があります。葬祭扶助といいます。生活保護の八つの扶助のひとつですが、いま生活保護を受けていない方が対象になることもあります。

先に一つだけ。火葬の前に連絡してください

この記事で一番お伝えしたいのはここです。葬祭扶助は、火葬や葬儀を済ませたあとで「やはり払えないので出してください」と申し出ても、原則として認められません。

葬儀社に依頼する前、火葬の前に、お住まいの市区町村の福祉事務所へ連絡してください。夜間や休日に亡くなった場合は翌朝一番でかまいません。先に連絡した、という事実が残っていることが効きます。

葬儀社に「葬祭扶助を使いたい」と伝えれば、扶助に対応した進め方をしてくれるところが多いです。費用は多くの場合、福祉事務所から葬儀社へ直接支払われます。喪主が立て替えて後から受け取る形ではありません。

見られているのは、亡くなった方ではなく葬儀を出す方

誤解されやすいところです。葬祭扶助が着目しているのは、故人の状況ではなく、葬祭を行う方の状況です。

生活保護法第18条は、被保護者が亡くなってその葬祭を行う扶養義務者がいないとき、また亡くなった方に葬祭を行う扶養義務者がなく遺留の金品では足りないときに、葬祭を行う者に対して支給できると定めています。実務では、葬儀を出す方自身に支払う力があるかどうかが見られます。

ですから、故人が生活保護を受けていたかどうかだけで決まるわけではありません。逆に、故人に預貯金などの遺留の金品があれば、まずそれを充てることになります。

いくらまで出るのか

上限額は国が告示で定めていて、住んでいる地域の級地区分によって変わります。

級地区分 大人 小人
1級地および2級地 222,000円以内 177,600円以内
3級地 194,300円以内 155,400円以内

神奈川県内の市部や静岡県西部の市部は、おおむね1級地か2級地にあたります。大人であれば22万2千円以内が目安ということになります。

ただしこれは上限であって、この金額が手元に渡るわけではありません。実際にかかった費用のうち、必要と認められた範囲が支払われます。

(出典:生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号、最終改正 令和8年3月31日厚生労働省告示第149号・令和8年4月1日適用)。確認日2026年8月31日。基準額は改定されることがあります)

含まれるもの、含まれないもの

法律が挙げているのは、検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものです。火葬を中心とした、最低限のお別れの費用と考えてください。

通夜や告別式といった一般的な式は、原則として含まれません。祭壇、会食、返礼品も対象外です。ここは正直に書いておきます。普通のお葬式ができる制度ではありません。

火葬の前に短く手を合わせる時間を持ちたい、といった希望を自費で足すことは可能です。どこまでが扶助で、どこからが自己負担になるのかは、葬儀社と福祉事務所の両方に事前に確かめてください。あとから請求されて困る、という話をときどき聞きます。

国民健康保険の葬祭費とは別の制度です

市区町村の国民健康保険や後期高齢者医療制度には、葬祭費という給付があります。名前が似ていますが別の制度で、加入者が亡くなったときに葬祭を行った方へ定額が支給されるものです。収入の要件はなく、金額は自治体によって異なります。

葬祭扶助を受ける場合、この葬祭費が収入として扱われ、その分が調整されることがあります。両方使えるのか片方だけなのかは、福祉事務所で確認してください。

言い出しにくさについて

私たちが相談を受けていて一番よく聞くのは、お金の話ではありません。「情けなくて言えない」という言葉です。親を見送るのに、役所へお金がないと申し出ることへの抵抗。それはよくわかります。

ただ、そこで無理をして消費者金融で借りたり、親族に頭を下げて数十万円を用立ててもらったりした結果、そのあと何年も苦しくなった方を何人も見てきました。葬祭扶助は、まさにそのために置かれている制度です。

費用の心配で連絡が遅れるほど、選べる方法は減っていきます。言い方がわからなければ、「身内が亡くなりましたが、葬儀の費用を出せません」だけで通じます。

そのあとの暮らしのこと

私たちは横浜市西区のNPO法人です。ご葬儀そのものを執り行うことはできませんが、どこへどう連絡すればよいか、そのあとの暮らしをどう立て直すかは一緒に考えられます。

亡くなった方と同居していた場合、家賃や公共料金の名義、住まいそのものが次の問題になります。世帯の人数が減れば保護費も変わります。生活保護の申請住まいのご相談もあわせてお受けしています。

まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

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