小田原は、県西のいろいろなものが集まってくる町です。買い物も、病院も、役所の手続きも、周りの町から電車とバスで小田原へ出てくる。城と観光の顔がよく知られていますが、暮らしの側から見ると、この地域で最後に頼れる窓口が並んでいる場所でもあります。
そのぶん、住んでいる場所によっては、相談に行くこと自体がひと仕事になります。バスの本数が少ない地区から市役所まで往復すれば、それだけで半日。生活が細っているときの半日は、思っているより重い。行く前に分かることは、先に書いておきます。
窓口は市役所の生活援護課
小田原市で生活保護の相談と申請を受け付けているのは、福祉健康部の生活援護課です。
小田原市 福祉健康部 生活援護課 生活援護係
所在地/〒250-8555 神奈川県小田原市荻窪300番地 小田原市役所
電話/0465-33-1463(市役所総合案内 0465-33-1300)
受付/平日 8時30分〜17時15分
ここで一つ、初めて行く方がつまずくところがあります。小田原市役所は小田原駅の目の前にはありません。荻窪という、駅から少し離れた場所にあります。市の案内によれば、小田原駅西口の2番のりばから久野車庫・兎河原循環方面のバスで「市役所前」まで約4分、東口の2番のりばからだと約8分、バス停から徒歩1分です。
(出典:小田原市「福祉健康部:生活援護課」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/msec/103/ /小田原市「市役所」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/public-i/admin/p-office/ 確認日2026年9月7日。窓口の場所や受付時間は変わることがあるので、行く前に電話で確かめてください)
電話をかけるときに、うまく説明しようとしなくて大丈夫です。「生活保護の相談をしたいのですが」で通じます。市のページにも、電話での相談ができると書かれています。交通費を使って行ったのに担当が不在だった、という空振りを避けるためにも、一本入れてからのほうが確実です。
その手前に、もうひとつ窓口があります
生活保護までは行かないかもしれない、まだ働けるつもりでいる。そう思っている段階の方に使ってほしいのが、福祉政策課の総合支援係です。生活困窮者自立支援法にもとづく自立相談の窓口で、市役所2階の18番窓口にあります。電話は0465-33-1892。
ここが引き受けているのは、履歴書の書き方や面接の準備、ハローワークとのつなぎといった就労支援、生活のリズムから整えていく就労準備支援、家計の相談、それに小学4年生から中学生までの学習支援です。何から手をつければいいか分からない、という状態のまま持ち込んでかまいません。
住まいに直接効くのが住居確保給付金で、小田原市は二種類を案内しています。ひとつは求職活動に専念するための家賃補助。離職または廃業から2年以内、あるいは自分の都合によらず仕事の機会が同じくらい減った方が対象で、上限は1人世帯41,000円、2人世帯49,000円、3〜5人世帯53,000円、6人世帯57,000円、7人以上64,000円。原則3か月で、求職活動を続けていれば3か月ごとに2回まで延ばせます。預貯金は1人552,000円、2人834,000円、3人以上1,000,000円が上限です。
もうひとつは家計改善のための転居費用補助で、いまの家賃が家計に対して重すぎる場合に、安いところへ移る費用を見てもらう仕組みです。敷金と前家賃、家財や設備の購入費は対象外。申請までに1〜3か月、書類がそろってから支給まで1か月ほどかかるとあるので、追い込まれてから駆け込むには向きません。動くなら早いほうがいい制度です。制度そのものの説明は住居確保給付金の記事に書きました。
ひとつ注意してほしいのは、ここに出てくる41,000円は住居確保給付金の上限であって、生活保護の住宅扶助の上限とは別の制度の数字だということです。同じ「家賃の上限」でも根拠が違います。
(出典:小田原市「生活困窮者自立相談支援事業」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/self-support/p18649.html /「住居確保給付金(求職活動に専念するための家賃補助)」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/self-support/p39644.html /「住居確保給付金(家計改善のための転居費用補助)」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/self-support/p39643.html いずれも確認日2026年9月7日)
書類がそろっていなくても、申請はできます
小田原市の生活保護Q&Aに、はっきり書かれています。必要な書類は相談時か郵送で知らせるが、申請時点ですべてが必要というわけではなく、調査期間中に出してもらってもかまわない、と。
そろえてから来てくださいと言われて帰ってしまい、そのまま何か月も過ぎた。そういう相談を私たちは受けたことがあります。申請の意思は、その場で伝えてかまいません。市のページには、申請は本人の意思にもとづくもので、親族が代理で申請することもできる、ともあります。
とはいえ、持っていけば話が早くなるものはあります。通帳(記帳しておいてください。その場で「わかりません」と言わずに済みます)、直近の給与明細など収入がわかるもの、家賃の額がわかる契約書か振込の記録、健康保険証と年金手帳、借入があればその一覧。
決定までの期間も市が明示しています。申請した日から原則14日以内、調査に時間がかかる特別な事情があるときでも最長30日以内に結果を通知する。この間に資産調査や、働ける状態かどうかの確認、他の制度が使えないかの確認が行われます。窓口で何を聞かれるかは申請方法の記事にまとめました。
家族に知られたくない、という理由で足が止まる方が多いのですが、市のQ&Aは扶養照会について、保護に優先して行われるものであって保護の要件とは違う位置づけだと説明しています。そのうえで、特別な事情があって明らかに扶養できない場合などは基本的に照会を行わない、とあります。黙って諦めず、事情を窓口で話してください。
家賃の上限は、窓口で必ず聞いてください
住宅扶助には上限があります。金額は地域と世帯人数で決まります。
この記事では小田原市の具体的な金額を書きません。市の公式ページを見た限り、上限額の記載が見当たらないからです。ネット上には数字を載せているページもありますが、出どころを確かめられないものは書かない、という方針でやっています。
ですので、相談のときに「住宅扶助の上限はいくらですか」と直接聞いてください。部屋を探し始める前に知っておくと、無駄足が減ります。上限を超える部屋を先に気に入ってしまうと、話がややこしくなります。制度としての考え方は住宅扶助の記事に書きました。
市のページには、保護費が原則として毎月5日(土日祝なら直前の平日)に口座へ振り込まれること、家賃を滞納した場合には福祉事務所が債権者へ直接振り込むこともあることが書かれています。これは借りる側にとっても意味があって、家賃が確実に入るとわかれば貸す側の不安は減ります。保証人を立てられない方が部屋を探すとき、交渉の材料になることがあります。
車のことは、諦める前に聞いてみてください
県西で相談を受けていると、車の話がよく出ます。バスが一日に数本しかない地区に住んでいて、車を手放したら通勤も買い物も成り立たない、という事情です。
小田原市のQ&Aには、一定の要件を満たす場合は自動車の保有を認めることがある、と書かれています。市が例に挙げているのは、通勤にあたって公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住んでいる、あるいは勤務地がそういう場所である場合。ほかに、車を使う仕事をしていた場合、役所へ医師からの説明があった場合、障害があって移動手段が他にない場合なども、判断の材料として挙がることがあります。
ただしこれは、認められることがある、という話です。最後は福祉事務所の判断で、自治体によって運用も違います。自分の状況を説明したうえで、窓口で確かめてください。持ち家についても、住んでいる家で、処分したときの価値が住み続ける価値に比べて著しく小さければ保有が認められる、という説明が同じQ&Aにあります。
(出典:小田原市「生活保護Q&A」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/p-cassi/p31833.html /小田原市「生活保護の利用について」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/p-cassi/p31997.html /小田原市「生活保護の申請から利用までの流れ」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/p-cassi/p31995.html いずれも確認日2026年9月7日)
意見を出せる窓口が用意されています
小田原市には、生活保護行政やケースワーカーの対応について意見を出せる仕組みがあります。生活援護課の窓口に意見箱と意見書の用紙が置かれていて、記入して投函する形です。用紙は市のサイトからも取れます。公表を希望した意見は原則としてページで公開され、運営に反映するよう努める、と書かれています。
これは平成29年の「生活保護行政のあり方検討会」の提言を受けて設けられたものです。市の職員の対応をめぐる出来事があり、外部の有識者を入れた検証が行われました。その後、市は「保護のしおり」を全面的に見直しています。利用者の視点に立ち、自尊感情を傷つけない表記にする、という考え方で作り直した、というのが市の説明です。相談に行くとき、こういう仕組みがあると知っているだけでも、少し気持ちの持ちようが変わると思います。
(出典:小田原市「生活保護行政等へのご意見」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/p-cassi/p32113.html /「生活保護行政のあり方検討会」 https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/p-cassi/p22170.html 確認日2026年9月7日)
住まいを先に、仕事はそのあとで
すでに家賃を滞納した状態で相談に来られる方も少なくありません。督促が来ていても、いきなり住まいを失うわけではありません。手順と、やってはいけないことは家賃滞納の記事にまとめてあります。鍵を替えられた、荷物を勝手に出されたという場合は違法です。
県西でお受けする相談は、高齢の単身の方の割合が高いのが特徴です。年金だけでは家賃が払えない、更新のときに保証人がいなくて困った、という詰まり方をします。年齢を理由に部屋を断られた経験のある方は高齢の方の生活保護もあわせてどうぞ。
私たちは神奈川県内で大家さんや管理会社とお話をしながら、保証人や保証会社を立てられない方の住まいのご相談をお受けしています。住宅扶助の範囲に収まるかどうかも一緒に見ます。当会は宅地建物取引業者ではないため、仲介手数料はいただきません。保証人のところで止まっている方には保証人なしで借りる話も書いてあります。
住まいが落ち着いてから、体調と相談しながら仕事を探す。この順番は変えないほうがいいと思っています。逆にすると、たいてい続きません。県西の各市町や、近隣の平塚市からのご相談もお受けしています。
まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。


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