「住むところがない」と福祉の窓口で言っていい|法改正で変わった住まいの支援

住まい

役所の窓口で住まいの話を切り出すのをためらう方がいます。「福祉の相談って、生活保護の話をするところですよね」と。あるいは、ネットカフェで寝泊まりしている状態を、どう説明したものか迷ってしまう。

その迷いは、これまでの制度が住まいの支援をはっきり書いていなかったことと無関係ではないと思います。2024年に生活困窮者自立支援法が改正され、そこが変わりました。多くの規定は2025年4月から動いています。

相談の入口に「住まい」が書き込まれた

自立相談支援事業という名前を聞いたことがあるでしょうか。市や町が窓口を置いていて(社会福祉協議会などへの委託が多い)、家計、仕事、借金、家族のことまで、どこに持っていけばいいかわからない困りごとをまとめて受ける場所です。掛川市のように、社会福祉協議会が市から委託を受けて実施している例もあります。

この事業の中身に、住まいに関する相談支援がはっきり書き込まれました。これまでも実務としてはやっていたのですが、法律に明記されたことの意味は小さくありません。相談する側からすれば「住むところのことを、ここで話していい」と決まったということです。

(出典:参議院「立法と調査」生活困窮者自立支援法等改正案の概要及び論点 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2024pdf/20240412053.pdf /確認日 2026-08-24)

一時生活支援事業は「居住支援事業」になった

もうひとつの大きな変更が、事業名の変更です。

これまで一時生活支援事業と呼ばれていたものが、生活困窮者居住支援事業に変わりました。名前だけの話に見えて、中身が広がっています。

何が広がったのか

これまで=住まいを失った方に、一時的な宿泊場所と食事を提供する。
これから=それに加えて、地域で安定して住み続けるための支援まで含む。

一時的な居場所を用意して終わり、ではなくなった、ということです。部屋が決まったあとに孤立してしまい、また同じところへ戻ってしまう。そういう例を私たちも見てきました。改正は、その先まで支援の射程に入れています。

さらに、自治体が各事業を行うにあたっては、居住支援法人などとの連携を図るよう努めることとされました。福祉の側と住宅の側が別々に動いていた状態を、つなげにいく改正だと受け止めています。

住居確保給付金とは別のもの

ここで混同しやすいのが住居確保給付金です。名前が似ているので、同じものだと思われることがあります。

住居確保給付金は、家賃そのものを一定期間補助する現金の給付です。離職や収入の減少で家賃が払えなくなった方が対象で、原則3か月、条件により延長があります。一方、いま説明している居住支援事業は、お金の給付ではなく、居場所の確保と生活の支援です。

いま家に住んでいて家賃が払えないなら住居確保給付金、すでに住まいを失っている、または失いかけているなら居住支援事業。ざっくり言えばそういう分かれ方をします。両方に関わる状況なら、窓口でまとめて相談してください。

ただし、地域差があります

正直に書いておきたいことがあります。

居住支援事業は、すべての自治体が同じように実施しているわけではありません。実施の状況には差があります。改正で努力義務として位置づけられたとはいえ、明日からどの市でも同じ支援が受けられる、という話ではないのです。

ですから「制度があるはずだ」と身構えて窓口へ行くよりも、いまの状況をそのまま話すほうが早い。家賃を何か月滞納しているのか、いつまでにここを出なければいけないのか。事実を並べれば、担当の方がその市で使えるものを組み立ててくれます。お住まいの自治体で何が実施されているかは、窓口で確かめてください。

住まいがない状態での生活保護の申請については家がなくても申請できるという記事に書いています。

使える制度が増えても、たどり着けなければ同じ

法律が変わっても、それを知らなければ何も変わりません。実際、私たちのところへ来る相談の多くは「どこに行けばいいかわからなかった」から始まっています。

窓口へ行くのが億劫なら、まず私たちに話してください。制度の説明だけでなく、必要なら一緒に窓口へ行きます。無料の相談前チェックに、いまの住まいの状況を書けるだけ書いて送ってもらえれば、そこから始められます。住まいの支援のページもあわせてご覧ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました