9月10日から16日は「自殺予防週間」です。厚生労働省が9月1日に発表しました。この一週間は、電話やSNSの相談窓口の体制が普段より広げられます。
週間そのものは毎年あるものですが、今年は3月に公表された統計に、私たちが読者の方にお伝えしておきたい数字が一つありました。全体の数は減っているのに、お金と暮らしの問題だけが増えているのです。
何があったのか
厚生労働省が令和8年9月1日に報道発表を出し、9月10日から16日を自殺予防週間として、電話やSNSによる相談支援体制を拡充すると公表しました。自殺対策基本法に基づいて、毎年この時期に置かれている週間です。今年はこども家庭庁、文部科学省、内閣府の孤独・孤立対策推進室と連携して、こどもと若者に向けた呼びかけを8月上旬から始めています。
発表のなかで触れられているのが、令和7年の小中高生の自殺者数が538人と、統計のある1980年以降で最も多かったことです。
相談できる窓口
厚生労働省の「まもろうよこころ」というサイトに、窓口がまとめられています。主なものを挙げます。いずれも無料です。
| 窓口 | 電話 | 受付 |
|---|---|---|
| #いのちSOS | 0120-061-338 | 24時間 |
| よりそいホットライン | 0120-279-338 | 24時間(SNS相談もあり) |
| いのちの電話 | 0120-783-556 | 毎日16〜21時/毎月10日は8時から翌8時 |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556 | 都道府県により異なる |
よりそいホットラインは、住まいがない、お金がない、といった生活の話も含めて受けてくれる窓口です。何から話せばいいか決まっていなくてもかまいません。
この週間の良いところ
ふだんは日中しか開いていない窓口が、この期間は時間を延ばすことがあります。SNSの相談も枠が増えます。電話で声を出すのがしんどいとき、文字なら書けるという方はいます。当会でも、最初の連絡がメールやフォームだけで、電話は最後まで一度もなかった、という相談は珍しくありません。
名前を名乗る必要もありません。相談したことが役所や勤め先に伝わることもありません。ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。
注意しておきたいこと
一方で、期待しすぎないほうがいい点もあります。
まず、つながりにくいことがあります。24時間と書かれていても、相談員の数には限りがあります。一度で出なかったら、少し時間を置いてかけ直すか、別の窓口を試してください。番号を一つに絞らないことです。
もう一つ。これらはこころの相談の窓口であって、お金や住まいの問題そのものを解決する窓口ではありません。話を聞いてもらって少し楽になっても、家賃の督促は止まりません。生活保護の申請を代わりにしてくれるわけでもありません。そこは福祉事務所や、私たちのような支援団体の役割です。両方に別々に連絡していい、というより、別々に連絡したほうが早いです。
全体は減っているのに、お金の悩みだけが増えている
ここからが、この記事でお伝えしたかったことです。
厚生労働省と警察庁が今年3月27日に公表した「令和7年中における自殺の状況」によると、令和7年の自殺者数は19,188人で、前の年から1,132人減りました。ほとんどの年代で減っています。
ところが、原因・動機の内訳を見ると、様子が違います。
- 健康問題:11,355件(前年から674件減)
- 経済・生活問題:5,387件(前年から295件増)
- 家庭問題:4,201件(96件減)
- 勤務問題:2,390件(174件減)
大きな項目のなかで増えたのは、経済・生活問題だけです。さらにその中身を見ると、こうなっています。
- 生活苦:1,720件(前年から142件増)
- 負債(多重債務):962件(109件増)
- 事業不振:561件(79件増)
- 失業:267件(15件減)
いちばん多いのが「生活苦」で、そこが増えています。次いで多重債務です。仕事を失ったことよりも、働いていても暮らしが立たない、返済が終わらない、という状態のほうが件数が多いということになります。
数字の読み方について、二つ断っておきます。この統計は一人につき四つまで動機を計上できる仕組みなので、件数の合計と人数は一致しません。そして厚生労働省の資料自身が注記しているとおり、多くの場合は複数の事情が絡み合っています。お金の問題だけで説明できるものではありません。
それでも、全体が1,000人以上減るなかでこの項目だけが増えた、という事実は残ります。相談を受けている実感とも、正直なところ、合っています。私たちのところに来るご相談も、この一年で「働いているけれど家賃が払えない」という形のものが目に見えて増えました。
心の窓口と、生活の窓口が分かれている
制度の課題を一つ挙げるとすれば、ここです。
生活苦や借金は、心の相談窓口では解けません。逆に、福祉事務所や債務整理の窓口は、気持ちの落ち込みまでは扱いません。困っている人から見ると、同じ一つの状態なのに、相談先が二つに分かれています。しかも、どちらから入ればいいかは誰も教えてくれません。
これは、どちらかの窓口が悪いという話ではありません。ただ、間に立って「そちらはあちら、これはこちら」と振り分ける人がいないと、途中で力尽きる方が出ます。私たちがやっているのは、その部分です。
それから、現実的な話をもう一つ。相談しようと思っても、携帯が止まっていると窓口に電話がかけられません。折り返しも受けられません。お金の問題で真っ先に止まるのが通信費なので、これは順序として先に手を打っておく必要があります。
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家賃が払えない、借金の返済で毎月が回らない、仕事が続かない――そうしたご相談を、NPO法人暮らし就労支援協会でお受けしています。お住まいのご相談と就労のご相談の両方に対応しています。相談は無料です。
私たちは心の治療をする機関ではありません。そちらは上に挙げた窓口や、お住まいの地域の精神保健福祉センターが専門です。ただ、暮らしのほうを一つずつ動かすことで、気持ちが軽くなる方はいます。生活保護の相談・申請は、お住まいの市区町村の福祉事務所(区役所・市役所の生活支援課など)が窓口です。申請は権利として認められており、相談だけでも受け付けてもらえます。
何から手をつけていいか分からない、という段階で構いませんので、一度ご連絡ください。
- 相談前チェック(オンライン):https://forms.gle/ppLQBuMz28LHCAtN8
- メール:info@npokurashi.com
- ホームページ:https://www.npokurashi.com/
出典
- 厚生労働省「9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です」(令和8年9月1日 報道発表)https://www.mhlw.go.jp/stf/r8_jisatsuyoboushukan.html(2026年9月9日確認)
- 厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課「令和7年中における自殺の状況」(令和8年3月27日)https://www.mhlw.go.jp/content/001680736.pdf(2026年9月9日確認)
- 厚生労働省「まもろうよこころ」https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/(2026年9月9日確認)
- 厚生労働省「自殺予防週間(9月10日~16日)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130808.html(2026年9月9日確認)
監修:NPO法人暮らし就労支援協会


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