生活保護を受けると、福祉事務所の職員が担当につきます。ケースワーカー、制度上は現業員と呼ばれる人です。
この関係をどう受け止めればいいのか、戸惑う方が多い。監視されているように感じる方もいれば、逆に何でも決めてもらえると思っている方もいます。どちらも実際とはずれています。
ルールがどうなっているのかを、法律と厚生労働省の実施要領から書いておきます。
訪問はいつ、どのくらい来るのか
実施要領は、訪問の目的を明確にしたうえで年間訪問計画を策定して行うこととしています。頻度の目安も書かれています。
| 場面 | 頻度 |
|---|---|
| 申請時等 | 申請書等を受理した日から1週間以内に訪問し、実地に調査 |
| 訪問計画に基づく訪問 | 世帯の状況に応じて必要な回数。少なくとも1年に2回以上 |
| 入院・入所している場合 | 1年に1回以上 |
「少なくとも年2回以上」が下限です。上限は決まっていないので、状況によって月1回来ることもあります。回数が多いこと自体が、疑われている印ではありません。就労の相談が続いている、体調が変わった、といった事情で増えます。
このほかに臨時訪問があります。実施要領が挙げているのは、申請により保護の変更を行う場合、生業扶助により就労助成を行った場合、水道設備や電灯設備、家屋補修に要する経費を認定した場合の事後確認、保護が停止されている場合、その他指導や助成、調査の必要がある場合です。
事前連絡は法律上の義務ではありません。ただ入れ違いは職員にとっても無駄なので、日程を調整してから来ることが多いです。
毎年6月以降に課税調査があります
これを知らずに驚く方がいるので、書いておきます。
実施要領は、被保護者の収入の状況を客観的に把握するため、毎年6月以降、課税資料の閲覧が可能となる時期に速やかに、税務担当官署の協力を得て課税の状況を調査し、収入申告額との突合を実施することとしています。
つまり、申告した収入と、税務の記録が突き合わせられます。年に一度、必ずです。
ここから言えることは一つです。収入は隠さないでください。短期のアルバイトでも、給料が振り込まれた口座があれば、いずれ照合されます。後から発覚したほうが、返還を求められるうえに信頼も失います。
働きながら受給することは制度上まったく問題ありません。控除の仕組みもあります(働きながら受ける場合の記事)。問題になるのは、働いたことではなく、黙っていたことのほうです。
指導・指示には限界があります
ここが、この記事の中心です。生活保護法第27条を、そのまま引きます。
生活保護法 第27条
1 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。
2項と3項を読んでください。指導や指示は、受給者の自由を尊重し、必要の最少限度にとどめなければならない。そして、意に反して強制できるものと解釈してはならない。法律にそう書いてあります。
相談を受けていると、「担当の人にこう言われたので従うしかないと思っていました」という話をよく聞きます。生活のこまごまとしたことにまで及ぶ指示が、必ずしも27条の枠に収まっているとは限りません。
もちろん、収入の申告や病状の報告といった、制度の根幹に関わることには応じる必要があります。区別が必要だ、ということです。
納得できないときにできること
保護の決定や実施に関する処分に納得できない場合は、都道府県知事に対して審査請求ができます。却下、廃止、減額といった処分が対象です。
期限があります。届いた通知書には、審査請求ができること、どこへするか、いつまでにするかが書かれているはずです(教示といいます)。通知書を捨てずに、その部分を読んでください。期限を過ぎると、内容の当否を判断してもらえなくなります。
手続きに不安があれば、法テラスや、私たちのような支援団体に相談してください。申請の段階でつまずいている方は断られたときの記事もご覧ください。
実務的な付き合い方
制度の話ではなく、現場で効くことを三つ書きます。
一つめ。やりとりを記録してください。いつ、誰が、何を言ったか。手帳に一行でかまいません。言った言わないになったとき、記録がある側が強い。これは相手を疑うためではなく、自分を守るためです。
二つめ。事実で話してください。「体調が悪くて働けません」より「先週は3日寝込んでいて、通院は月2回、主治医からは就労は難しいと言われています」のほうが通ります。ケースワーカーは記録を書いて上司に説明する立場なので、具体的な事実があると動きやすくなります。
三つめ。担当は替わります。相性が合わないことは実際にあります。ただ数年で異動があるのが普通です。どうしても関係が難しいときは、担当者ではなく係長や査察指導員に相談するという道もあります。
ケースワーカーは一人で八十世帯以上を受け持っていることも珍しくありません。忙しさから対応が事務的になることもある。敵ではなく、制度を動かす窓口だと思って接するのが、結局はいちばん物事が進みます。
間に入ることもできます
私たちは横浜市西区のNPO法人で、住まいと仕事の相談をお受けしています。福祉事務所とのやりとりで困っている、言いたいことがうまく伝えられない、という段階でご相談いただくこともあります。
これから申請する方も、すでに受けている方も、どうぞ。
まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

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