生活保護の冬季加算はいつから?暖房器具の一時扶助と、9月のうちにできること

地域別

まだ日中は暑いのに冬の話か、と思われるかもしれません。ただ、この記事を9月に出しているのには理由があります。毎年12月や1月になってから、「寒くて電気を止めて我慢していた」「ストーブが壊れたまま冬を越した」という相談が入るからです。そのときにはもう、打てる手がだいぶ減っています。

冬の暖房費には、生活保護のなかに専用の上乗せがあります。暖房器具そのものにお金が出る場合もあります。ただし、どちらも先に知っていないと使いにくい仕組みになっています。厚生労働省の告示と通知から、順に見ていきます。

冬季加算は、住んでいる地域で始まる月が違います

冬季加算は、寒い時期に増える光熱費を見込んで生活扶助に上乗せされるものです。「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号)の別表第1に、地区別冬季加算額として定められています。

この地区区分がⅠ区からⅥ区まで6つあり、加算される期間が区分ごとに違います。告示の表にはこう書かれています。Ⅰ区とⅡ区は10月から4月まで。Ⅲ区とⅣ区は11月から4月まで。Ⅴ区とⅥ区は11月から3月まで。北の地域ほど早く始まって遅く終わる、という組み立てです。

私たちのいる神奈川県は、11月から3月までの区分にあたります。相模原市が公開している生活保護の説明にも「冬季加算(11月から3月までの間のみ支給)」と明記されています。10月はまだ入りません。11月分の保護費から額が変わる、と思っておくとずれません。

金額は地区区分と世帯人員、それに級地で決まるため、この記事で一律の数字は出しません。自分の世帯だといくらになるのかは、担当のケースワーカーに聞くのが確実です。保護費全体の組み立てについては支給額の記事にまとめています。

外に出られない事情があるなら、1.3倍の特別基準があります

ここはあまり知られていません。厚生省社会局長通知の第7の2の(1)アに、冬季加算の特別基準が置かれています。

冬季加算の特別基準(社会局長通知 第7の2の(1)ア)

傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者又は乳児が世帯員にいる場合であって、地区別冬季加算額によりがたいときは、地区別冬季加算額に1.3を乗じて得た額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

一日じゅう家にいれば、暖房を切る時間がありません。赤ちゃんがいる家も同じです。そういう世帯には通常の額では足りないだろう、という趣旨の規定です。

ただ、外出が難しい状態にあることは、福祉事務所が黙っていて把握できるとは限りません。療養で家から出られない、乳児がいる、という事情があるなら、寒くなる前に一度伝えておいてください。認めるかどうかを決めるのは実施機関ですし、運用は自治体によっても違います。それでも、伝えていなければ検討すらされません。ケースワーカーとの付き合い方の記事もあわせてどうぞ。

暖房器具そのものが無い場合の一時扶助

加算は光熱費の話で、器具そのものは別です。暖房器具の購入費は、一時扶助の家具什器費として認められることがあります。同じ社会局長通知の第7の2の(6)のイに定めがあります。

金額は31,000円の範囲内。地域の気候や住宅設備の事情でFF式や煙突式の暖房器具を買う必要があるなど、31,000円を超えることが真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、78,000円の範囲内まで認めて差し支えないとされています。

ここで正直に書いておかなければならないことがあります。この一時扶助は、暖房器具が壊れたら誰でも出る、というものではありません。同じ通知の(6)のアに並んでいる次の状態のいずれかに当てはまり、そのあと最初に来る冬季加算の認定月に、暖房器具の持ち合わせがないことが条件です。

家具什器費の対象になる状態(社会局長通知 第7の2の(6)のア)

  • 保護開始時に、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき
  • 単身の世帯で、長期入院・入所のあと退院・退所して、新たに単身で住み始める場合に持合せがないとき
  • 災害にあい、災害救助法の救助が行われず、自治体等の救護でもまかなえないとき
  • 転居した先の設備が前の住居と違い、いま持っているものが使えないとき
  • 犯罪被害や同居者からの暴力から身の安全を守るため、新たに借家等へ転居する場合に持合せがないとき

逆に言えば、いま住んでいる部屋で長く使ってきたストーブが寿命を迎えた、という場合は、この枠には入りません。夏の冷房器具の記事と同じ構造で、冷房器具のほうは78,000円の範囲内と定められていますが、要件の考え方は共通しています。

買う前に相談する。順番だけは間違えないでください

該当しそうだと思ったら、買う前にケースワーカーへ相談してください。先に自分で買ってしまうと、対象から外れることがあります。

特別な事情がない世帯は、日々の保護費のやりくりで買うことになります。ここで手詰まりに見えますが、国はもう一本の道を示しています。令和7年3月の社会・援護局関係主管課長会議資料には、福祉事務所に向けて、日頃のケースワークで「冷房器具や暖房器具等の購入の意向を、夏季や冬季までの期間を考慮して事前に確認し」、必要に応じて家計管理の助言をするとともに、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付を紹介するように、と書かれています。

夏季や冬季までの期間を考慮して事前に、です。つまりこの相談は、冬が来てからではなく、いまの時期にするものとして想定されています。9月にこの記事を出しているのは、それが理由です。

なお、社協への返済については、生活保護法第37条の2と施行令第3条により、生活扶助費の一部として福祉事務所が直接社協へ払う代理納付という取扱いができるとされています。返済を自分で管理しきれるか不安、という方は、この方法があることも聞いてみてください。

生活保護を受けていない世帯でも、できることはあります

電気やガスが止まりそうなときは、まず契約している会社に電話してください。支払いの分割や期日の相談は、止まってからでは選べる手が減ります。督促状が届いた時点が、いちばん打つ手が多い段階です。

生活福祉資金は、生活保護を受けている世帯だけのものではありません。厚生労働省の説明では、市町村民税非課税程度の低所得世帯、障害者手帳などを持つ方がいる世帯、65歳以上の高齢者がいる世帯が対象で、窓口はお住まいの市区町村社会福祉協議会です。

もう一つ、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関があります。支援員と一緒に立て直しの見通しを作るところで、家計改善支援事業や住居確保給付金といった支援もこの制度のなかにあります。固定費そのものを下げる方向は固定費の見直しの記事に書きました。ひとり暮らしの高齢の方は高齢者と生活保護の記事も参考になるはずです。

灯油や電気代が高い年は、自治体独自の給付が出ることもあります

燃料費が跳ね上がった年に、市区町村が独自の給付金や灯油の助成を出すことがあります。これは国の制度ではないので、あるかどうかも、金額も、申請の要否も自治体ごとに違います。この記事で「出ます」とは書けません。お住まいの市区町村の広報やホームページ、福祉の窓口で確認してください。案内が届く前に締め切られることもあるので、11月に入ったら一度見ておくと確実です。

寒くなる前に、相談してかまいません

冬季加算がいくらになるか、自分は暖房器具の一時扶助に当てはまるのか。最終的に決めるのは福祉事務所で、判断の幅は自治体によっても違います。私たちが「あなたは対象です」と言うことはできません。

できるのは、制度の形を説明して、福祉事務所に何をどう伝えるかを一緒に整理するところまでです。それでも、伝え方が整理できるだけで話が進んだ方は何人もいます。私たちは横浜市西区のNPO法人で、住まい仕事の相談を無料でお受けしています。

寒くなってからでは間に合わないことがあります。まずは無料の相談前チェックに、いまの状況を書けるだけ書いて送ってください。折り返しご連絡します。

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