生活保護とは?条件・金額・8つの扶助・申請の流れをやさしく解説

支援を求めて差し伸べられる手のイメージ

「生活保護なんて、自分が受けていいものなんだろうか」。相談の電話口で、まずこう切り出す方がとても多いです。仕事を失った、病気で働けなくなった、年金だけでは家賃を払うと何も残らない。事情はさまざまですが、共通しているのは、制度そのものよりも「申し訳なさ」で足が止まっているということです。

先にお伝えしておきます。生活保護は、日本国憲法第25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」にもとづく仕組みです。困ったときに使える正当な権利であって、恥ずかしいことでも、誰かに迷惑をかけることでもありません。ここでは制度の全体像を、できるだけ具体的にお伝えします。

生活保護とは(どんな制度か)

生活保護は、収入や資産が足りず、他の制度を使ってもなお暮らしが成り立たないときに、国と自治体が最低限の生活を支える制度です。よく「最後のセーフティネット」と呼ばれます。

大きな役割は二つあります。ひとつは、いまの暮らしを守ること。食べる、住む、病院にかかる、といった土台が崩れないようにします。もうひとつは、そこから立て直していくのを後押しすること。生活保護は「受けたら終わり」ではなく、体調や状況を整えて、また自分の力で歩けるところまでを見すえた仕組みです。

判断は世帯を単位に行います。ひとりで暮らしていればその人だけ、家族で暮らしていればその家計全体で見る、ということです。

受けられるかどうかの4つのポイント

自分が対象になるのかどうかは、大きく四つの角度から見られます。ひとつでも欠けたら即アウト、というものではありません。窓口では総合的に判断されます。

見られるのはこの4点

  • 収入が「最低生活費」を下回っているか
  • 活用できる資産があるか
  • 働ける状態か、能力をいかせているか
  • 親族などの援助が受けられるか

① 収入が最低生活費を下回っている

いちばん大きいのがこれです。国が世帯ごとに「最低生活費」という基準額を決めていて、あなたの世帯の収入がそれを下回っていれば、足りない差額が保護費として支給されます。パートで少し働いていても、年金を受け取っていても、基準に届かなければ対象になり得ます。「働いているから無理だろう」と自分で線を引かないでください。

② 活用できる資産がない

まとまった預貯金や、使っていない土地、資産価値の高い車などがあれば、まずはそれを生活に充ててください、という話になります。ただし例外もあります。通院や通勤にどうしても要る車、古くて値のつかない持ち家などは、持ったまま認められることがあります。ここは事情によって扱いが変わるところなので、あきらめる前に相談してみてください。

③ 働ける能力をいかしている

働ける人は、その力をいかしてください、という考え方があります。とはいえ、これは「若い・健康なら受けられない」という意味ではありません。仕事を探しても見つからない、病気や障害で思うように働けない、といった事情があれば対象になります。働きながら足りない分を補う形で受けることもできます。

④ 親族からの援助が受けられない

申請のとき、親や子、きょうだいに「援助できますか」と確認する扶養照会があります。ただ2021年に国が運用を見直していて、DVや虐待、長く音信不通といった事情があれば、連絡を止められます。知られたくない相手がいるなら、申請の前の相談で必ず伝えておいてください。

生活保護で受けられる8つの扶助

生活保護は「お金を配って終わり」ではなく、必要に応じて8種類の扶助が用意されています。中心になるのは生活扶助と住宅扶助ですが、医療や介護、教育なども守られます。

扶助 主な内容
生活扶助 食費・光熱費・衣類など、日々の暮らしの費用
住宅扶助 家賃・地代など住まいの費用(地域ごとに上限あり)
教育扶助 義務教育に必要な学用品費・給食費など
医療扶助 診療費・入院費など(原則、自己負担なしで受診できる)
介護扶助 介護保険で受けるサービスの費用
出産扶助 出産にかかる費用
生業扶助 就労や技能習得のための費用、高校の就学費用など
葬祭扶助 葬儀にかかる費用

このほか、ひとり親世帯、障害のある方、子育て世帯などには、状況に応じて「加算」がつきます。どれが自分に当てはまるかは、世帯の状況で変わります。

申請から決定までの流れ

手続きは、思っているほど複雑ではありません。大きくは次の四つの段階で進みます。

1

相談・申請/住所地を管轄する福祉事務所で「申請します」と伝える。意思表示があれば受け付けてもらえます。
2

書類の提出/収入や資産のわかる書類を出す。全部そろっていなくても申請はできます。
3

家庭訪問・調査/ケースワーカーが自宅を訪ね、生活の様子や預貯金などを確認します。
4

受給の決定/原則14日以内(長くても30日以内)に結果が通知されます。

決定が出ると、毎月決まった日に保護費が支給されます。どんな書類が要るのか、窓口で何を言えばいいのかは、申請方法の記事にもう少し詳しくまとめています。支給額の考え方は金額の記事を参考にしてください。金額は年齢・世帯人数・地域で変わり、制度の改定でも動くので、正確なところは福祉事務所か私たちの相談で確かめてください。目安として受け取ってもらえればと思います。

よくある誤解

相談を受けていると、間違った思い込みで申請をあきらめている方に何度も出会います。代表的なものを挙げておきます。

車を持っていると受けられない、と思われがちですが、通院や通勤に必要な場合など、保有が認められることもあります(車と生活保護)。持ち家があると無理、というのも誤解で、資産価値が低ければ住み続けられる場合があります(持ち家と生活保護)。借金があると申請できない、というのも違います。申請自体はでき、返済は債務整理で並行して考えます(借金と生活保護)。そして扶養照会。家族に知られたくないという理由で止まってしまう方が多いのですが、事情があれば連絡を止められます(扶養照会を止めるには)。

「たぶん自分は対象外だろう」の多くは、思い込みです。線を引くのは、確かめてからでも遅くありません。

ひとりで抱え込まず、まずは確かめてください

生活が立ちゆかない、住むところが不安、そもそも自分が対象になるのかもわからない。どれも、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。私たちは神奈川・横浜で無料の相談を受けていて、横浜駅西口すぐのかながわ県民センターでも定例で相談会をひらいています。住まいや仕事のことも、生活保護と切り離さずまとめて相談してもらえます。

いきなり窓口はハードルが高い、という方は、スマホでできる無料の生活保護相談前チェックから試してみてください。自分が対象になりそうかの見当がつきます。もちろん秘密は守ります。

住まいの相談は住居支援、働き方の相談は就労支援、地域別では横浜市のページ神奈川で相談できる窓口もあわせてご覧ください。

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