求人倍率1.18倍、でも一般事務は0.29倍 7月の雇用統計を職種ごとに見る

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厚生労働省と総務省が8月28日、7月分の雇用の統計をそろって公表しました。

有効求人倍率は1.18倍で前月と同じ。完全失業率は2.4%で、前月より0.1ポイント下がり、1年ぶりの低い水準になりました。数字だけを見れば悪くありません。

ただ、ご相談を受けていると「求人はあるのに決まらない」という話のほうがよく届きます。統計と実感がずれて見えるとき、たいていの原因は平均のとり方にあります。今回はそこを見ていきます。

1.18倍は、全部の職種を足した平均です

有効求人倍率は、ハローワークに出ている求人の数を、仕事を探している人の数で割った数字です。1.18倍なら、求職者1人あたり1.18件の求人がある計算になります。

ただしこれは全職種を合計したものです。厚生労働省は職業ごとの内訳も同じ日に公表していて、そちらを開くと幅がかなり広い。

職業(常用・パート含む) 有効求人倍率
建設躯体工事(とび、鉄筋など) 7.94倍
警備などの保安の仕事 6.54倍
介護サービス 3.82倍
自動車運転 2.53倍
接客・給仕 2.30倍
看護師・保健師・助産師 1.94倍
商品販売 1.73倍
清掃 1.10倍
全職業の合計 1.05倍
荷物の運搬 1.03倍
一般事務 0.29倍
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表7-1より。令和8年7月の実数(季節調整をしていない数字)です。

同じ7月の、同じ全国の数字です。介護の仕事は求職者1人に3.82件ありますが、一般事務は0.29件しかありません。求人1件を3人以上で取り合う計算になります。

事務の仕事を軸に探していてなかなか決まらないとき、それはご本人の力量の話ではなく、はじめから3人に1人しか座れない椅子取りをしている、ということがあります。

なお正社員に限った有効求人倍率は1.00倍でした。求人と求職がちょうど同じ数です。ただし厚生労働省の注記によれば、この計算の分母には派遣や契約社員を希望する方も入るため、実際の正社員の倍率はもう少し高いと見られます。

静岡は1.10倍、神奈川は0.84倍。ただし読み方があります

都道府県別で見ると、受理地別では最低が神奈川県の0.84倍でした。全国でいちばん低い数字です。

ここは読み方に注意が要ります。受理地別というのは「その求人を受け付けたハローワークがどこにあるか」で数えたものです。神奈川にお住まいの方が東京の会社に応募することは普通にありますが、その求人は東京都の数字に入ります。同じ7月、東京都は1.69倍で全国最高でした。

働く場所のほうで数え直した就業地別で見ると、最低は大阪府の0.95倍です。神奈川県が全国最下位という伝わり方をしても、県内に仕事がその分だけないという意味ではありません。

静岡県は1.10倍で、前月より0.02ポイント上がりました。66か月続けて1倍を超えています(静岡労働局の発表)。

良くなっている点

失業している方の数は169万人で、1年前と同じでした。失業率が下がったのは、仕事を探していた方が実際に就いていったためだと総務省は説明しています。

雇われて働く人は1年前より36万人増え、そのうち正社員などの正規は16万人増えました。正規が増えるのは33か月続いています。

そして先ほどの職業別の表です。介護、警備、建設、運転、清掃といった分野は倍率が高い。人が足りていないので、未経験からでも入り口が開いていることが多い分野です。資格がなくても始められて、働きながら資格を取れる職場もあります。

見落とされやすい点

倍率が高いことは、入りやすさを表しているだけです。働きやすさとは別の話になります。倍率が高い分野には、夜勤がある、体力が要る、屋外の作業が多いといった事情が背景にあることが多い。数字が高いから良い仕事、とは読まないほうがいいと思います。

もう一つ、新規の求人は1年前より0.8%減りました。中身を見ると、製造業は6.8%増えていますが、宿泊業・飲食サービス業が10.7%減、卸売業・小売業が7.3%減、生活関連サービス業・娯楽業が6.5%減です。

減っているのは、経歴が途切れていても比較的入りやすかった分野です。ご相談のなかで入り口としてよく挙がってきた仕事が、いま細っています。

決まった件数は、減っています

7月に実際に就職が決まった件数は87,409件で、1年前より3.9%減りました。一方で仕事を探している方は0.9%増えています。

求人倍率は横ばいなのに、決まった数は減っている。求人も求職者もいるけれど、うまく噛み合っていないということです。

離職の理由も動いています。1年前と比べて、勤め先の都合で辞めた方が1万人、自分の都合で辞めた方が5万人増えました。増え方は自己都合のほうが大きい。辞めてから次を探す方が増えているのだとすれば、収入のない期間をどうしのぐかが先に問題になります。

統計は全国の平均です。お住まいの地域、年齢、これまでの経歴、通える範囲。そのどれもが平均には映りません。1.18倍という数字がご自分に当てはまるとは限らないので、そこは切り分けて考えていただければと思います。

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出典

監修:NPO法人暮らし就労支援協会

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